毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

正しい時に正しい場所にいる事、自分で選べる人を"天才"と呼ぶ~『天才! 成功する人々の法則』M・グラッドウェル(2009)

天才! 成功する人々の法則

グラッドウェルはビジネス書のベストセラー作家。

  
人類の富豪トップ75名を調べる

 

75名のうち、実に14人が19世紀なかばの10年間のうちに生まれたアメリカ人なのだ。・・・歴史家がクレオパトラやファラオ以降、人類の歴史についてくまなく調べ、世界の隅々まで探して途方もない金持ちを見つけ出したところ、そのほぼ20%が、一つの国のひとつの世代に集中していたのである。(70ページ

1831-1840年生まれの14名のアメリカ人

 

 

 

 名前

 誕生年

 事業

資産(10億$)

ジョン・D・ロックフェラー

1839

スタンダードオイル

318.3

アンドルー・カーネギー

1835

カーネギー鉄鋼

298.3

28

F・ウェアーハウザー

1834

ウェアーハウザー

80.4

33

ジェイク・グルード

1836

ユニオンパシフィック鉄道

67.1

34

マーシャル・フィールド

1834

マーシャル・フィールド

66.3

 

 

 

 

(28位ウェアーハウザーは林業、34位マーシャル・フィールドは百貨店)

14名のアメリカ人は1831-1840年の間に集中して生まれている。・・・1860-1870年代のアメリカ経済はおそらく1776年独立以来、最大の転換期を迎えていた。鉄道が敷かれ、ウォール街の重要性が増す。工業生産が本格的に始まる。古い経済のルールが壊され、新たにつくられる。このリストが示すのは、その転換期を迎えたときの年齢が重要だということだ。

1840年代後半に生まれたのでは遅すぎる。若すぎて好機がつかめない。逆に、1820年代に生まれたのでは早すぎる。ものの見方が、南北戦争(1861-1865)前のパラダイムによって形づくられている。ところが、この狭い10年間(1831-1840)は、今後、待ち受けるには絶好の期間だった。

1865-1973年のアメリカ「金ぴかの時代」

 

アメリカ横断鉄道の開通が1869年、鉄道により鉄鋼需要が高まり工業生産が拡大、米国西部が経済圏に組み込まれ農業生産が拡大する。俯瞰してみれば資本主義の前に一気に巨大空間が開かれた瞬間であった。この時代を「金ぴか時代」(byマークトーウェン)と言う。

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キャンディと100年前のアメリカ - 銀行・世界大恐慌

どうして有史まれにみる富豪を生んだか

 

更に俯瞰してみるなら、ヨーロッパで産業革命以降資本主義によって蓄積された富が一度に投資され、収益に結びついた時代だった。だからこそ14名の富豪がランキングに名を連ねる事となった。そして14名の中にはスコットランド出身のカーネギー、ドイツ出身のウェアーハウザーの2名の移民が居る。彼らは自ら新しい市場に移籍した。我々が知るべき事は新しい市場が常に存在する。そして新しい秩序を意識するなら年齢も本質的には制約条件にはならない、という事に気づかされる。

蛇足

 

正しい時に正しい場所にいる事、それは選択できる。

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