毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ビジネス

我々は何を知っていて、何を知らないのか ? 「ベイズの推論」アプローチから~『シグナル&ノイズ』ネイト・シルバー氏

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」 シルバー氏は統計のアナリスト、「私たちはシグナルを探そうとしてノイズを集めている」、情報の洪水のなかから真実(シグナル)を見つけ出す統計分析理論と予測技法2013年刊 株価が良いとき、人は株式に投…

Livestock「生きた在庫」の意味を知っていますか?~『農業超大国アメリカの戦略』石井 勇人氏2013年

農業超大国アメリカの戦略: TPPで問われる「食料安保」 石井氏は通信社出身、多様な側面から米国農業を徹底解剖する。 2013年刊 農産物は変動する 人類にとって、穀物の豊作は望ましいことだが、人間の胃袋は急に大きくはならない。1日に一人が食べる量は安…

今や人類の半分は都市に住んでいる。都市は出会いの場であり、変化の場である。~『都市は人類最高の発明である』(2012)

都市は人類最高の発明である グレイザー氏は都市経済学の研究家。「無秩序に広がる都市こそが、人類にとって最も必要なものなのだ!都市を高層化・高密化させて発展させることが人類の進歩」と主張する。 2012年刊 都市は人類最高の贈り物 都市が人類の強みを…

イノベーションの本質は少ない人間で済ませる事、米国の農業と製造業はそれを教えてくれる。~『年収は「住むところ」で決まる』(2014)

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学 モレッティ氏は地域経済学の研究家、米国でもイノベーションは「まだら模様」、地域によって差があると言う。2014年刊 アメリカの製造業 アメリカの製造業興隆の原動力になったのは、労働生…

イノベーションの本質は少ない人間で済ませる事、米国の農業と製造業はそれを教えてくれる。~『年収は「住むところ」で決まる』(2014)

年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学 モレッティ氏は地域経済学の研究家、米国でもイノベーションは「まだら模様」、地域によって差があると言う。2014年刊 アメリカの製造業 アメリカの製造業興隆の原動力になったのは、労働生…

グローバル・サプライチェーンのスマイル・カーブを凹ませたのはコンテナだった?~『コンテナ物語』マーク・レビンソン氏(2007)

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった レビンソン氏は経済アナリスト。 20世紀最大の発明品の1つといわれるのがコンテナ。コンテナの海上輸送が始まったのは1956年3月のことだ。アメリカの陸運業者マルコム・マクリーンは、コスト削減と交通渋滞…

ビジネスに生産性やモチベーション向上の概念が導入されたのはいつ頃だったのか~『経営戦略全史』 三谷宏治氏

<経営戦略全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ) 三谷氏は経営戦略のコンサルタントの出身、経営戦略100年の発展史を一気読み! 2013年刊 テイラーの科学的管理法(1911) 毎日400-600人の作業者がショベルを使って鉱石や灰をすくっては運ぶ仕事をしてい…

ビジネスにおしてコピーした方がいいもの、それは戦略性~『チャイニーズ・ドリーム~大衆資本主義が世界を変える』 丸川 知雄氏

チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える (ちくま新書) 丸川氏は中国産業論の研究家。カネも技術もなくても起業に挑戦する普通の庶民のハングリー精神と、彼らが生み出すイノベーションにある!2013年刊 「その他企業」=民間企業 中国の産業構造…

ドルを基軸通貨として「ありのまま」に見ると~書評「日本人の知らない『クレムリン ・メソッド』」

日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理 北野氏はロシア在住の国際関係アナリスト、これまでの経験から習得した独自の「世界の見方=クレムリン・メソッド」をもとに、欧米一辺倒の情報とは別の「アプローチを説く。2014年12月刊 ア…

ドルを基軸通貨として「ありのまま」に見ると~書評「日本人の知らない『クレムリン ・メソッド』」

日本人の知らない「クレムリン・メソッド」-世界を動かす11の原理 北野氏はロシア在住の国際関係アナリスト、これまでの経験から習得した独自の「世界の見方=クレムリン・メソッド」をもとに、欧米一辺倒の情報とは別の「アプローチを説く。2014年12月刊 ア…

米国「繁栄と狂乱の1920年代」は現代の大量消費社会に初めて到達した時代だった~1931年出版「Only Yesterday」

オンリー・イエスタデイ―1920年代・アメリカ (ちくま文庫) 本書は米国のジャーナリスト、アレン氏が世界大恐慌に突入した1931年に書かれた・「アメリカ史において、将来特異な時代と見なされるであろう一時期」について「事件後直ちにその歴史を書く」ことに…

明治憲法は近代戦に適合していなかった、ここからコーポレートガバナンスを考える~長谷川慶太郎氏「大局を読むための世界のkん現代史」より

大局を読むための世界の近現代史 (SB新書) 長谷川氏は元祖アナリスト、20世紀は、苛烈な戦争の世紀でもあった。二度にわたる未曽有の世界大戦、そして国家総力戦としての「冷戦」。こうした過去の戦争がなにを発端とし、どのような経緯でいかにして終わった…

データを駆使したメジャーリーグ・アスレチックス、勝利の本質は「独自の仮説に愚直に取り組む組織論」~書評「マネーボール」

マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) アスレチックスのゼネラルマネジャー(GM)のビリー・ビーン(1997年に就任)は、かつて将来を嘱望されながら夢破れてグラウンドを去った元選手だ。彼はジェネラルマネージャー(GM)として統計データ…

自動車を発明したカール・ベンツ(1844-1929)というアントレプレナーの2つの成功要因~強い精神力とキャッシュフロー

文庫 自動車と私 カール・ベンツ自伝 (草思社文庫) 現在のメルセデスベンツの創業者、カールベンツ氏の1925年頃の自伝 19世紀末、カール・ベンツは世界で初めて自動車を実用化した。ディファレンシャル・ギア、ラジエーター、ステアリング装置―現代の自動車…

仮に自動車産業が転身する事になったら何を選択するのであろうか?

エルメス(新潮新書) 「ブランドのなかのブランド」と呼ばれるエルメス。圧倒的に高価でありながら異常なまでの人気を得た背景には、高水準の職人技術はもちろん、徹底した同族経営、巧みな広報・商品戦略があった。2004年刊 1886年ドイツでベンツとダイム…

コンピュータの株式取引が教えてくれる、時間は相対的なモノ~書評「フラッシュ・ボーイズ10億分の1秒の男たち」

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち コンピュータスクリーンが映し出す各証券市場の売値と買値で取引しようとすると、ふっと売り物や買い物が消えてしまうのだ。その値が消えて、買う場合だったらば、必ずそれより高い値で、売る場合だったらばそれよ…

インクジェットとはビット(情報)でアトム(原子)を操作する事~3Dプリンターの本質、「インクジェット時代が来た!」より

インクジェット時代がきた! 液晶テレビも骨も作れる驚異の技術 (光文社新書) インクジェットとは、精細な液体の粒を「飛ばして」「積み重ねる」技術。 この技術の持つ本質は何か?2012年刊。 実用的なインクジェットは1970年代のコンティヌアス式インクジェッ…

あなたがよりかかっているもの、それは幻想である。~大前研一氏の処女作「悪魔のサイクル」(1973)より

悪魔のサイクル 2013年新装版 大前研一BOOKS (NextPublishing) 本書は1973年発行、今から約40年前、大前氏の数多い著作の第1作目。 41ページ、明治が個人主義を掴もうとしていた時代、と表現 (平成15年の第13版の旧版) 大前健一氏の覚悟 専門家の目には、こ…

世の中に隠れた真実は無いか?そしてそれは変えられないか?~ピーター・ティール氏「ゼロ・トゥ・ワン」―君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか ピーター・ティールは米国の起業家「僕たちが新しい何かを生み出すたびに、ゼロは1になる。」2014年9月刊 資本主義と競争は対極 資本主義は資本の蓄積を前提に成り立つのに、完全競争下ではすべての収益が消…

アマゾンは「一冊売れたらそれをランキング一位にする」、という簡単なアルゴリズム~部分の変動が全体構造を把握可能とするという実例

Amazonランキングの謎を解く: 確率的な順位付けが教える売上の構造 (DOJIN選書) 服部氏は確率論、数理物理学の研究家。2011年刊。 チャート:y軸の最小目盛りは順位1位、最大は順位80万位を現す。 ある本が売れたらランキングを1位にする 根幹は単純も単純…

どうしてやりたい事を我慢する必要があるのか?~書評「たいていのことは20時間で習得できる」

たいていのことは20時間で習得できる 著者のジョシュ・カウフマンは、ベストセラー『Personal MBA』(ビジネススクールに行かずに、MBAの知識を身に付ける方法を説いた)の著者。2014年9月発刊 やってみたい事はどんどん膨らんでいく やあ、僕はジョシュ・カウ…