毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

コンピュータの株式取引が教えてくれる、時間は相対的なモノ~書評「フラッシュ・ボーイズ10億分の1秒の男たち」

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

 

コンピュータスクリーンが映し出す各証券市場の売値と買値で取引しようとすると、ふっと売り物や買い物が消えてしまうのだ。その値が消えて、買う場合だったらば、必ずそれより高い値で、売る場合だったらばそれより低い値で取引が成立してしまう。・・・そこには、私たちの注文を10億分の1秒の差で先回りしていく超高速取引業者「フラッシュ・ボーイズ」の姿があったのだ。(amazonより)2014年刊

本書を一言で言うと

 

 

超高青取引業者は毎晩フラット(手持ちの株がゼロの状態)に戻るんです。・・・ポジションを取らないんです。彼らがしているのは、買い手と売り手の間にある時間を橋渡しすることですが、本当に一瞬なので、誰もそんな時間があることさえ知りません。(141ページ)

 

フラッシュトレーディング

 

株式の売買は証券取引所および私設市場で行われる。株式を売買したい人は証券会社(ブローカー)に発注する。証券会社はその発注を市場に出す。すると超高速取引業者はその情報をいち早くキャッチして売買の間に参入する事で鞘を抜く。簡単に言えば他人より早く情報を入手し、売買をプログラムによって行う。1ミリセカン(=1/1000秒)の単位でその執行スピードを競う。こういったコンピュータ取引をフラッシュトレーディングと呼ぶ。

私設取引所IEXのドキュメント

 

本書は超高速取引の実態を解明し、そしてそれに対抗しようとするIEXという私設証券取引所開設の経緯を記したドキュメントである。その動きは日本でも報道された。


勢いづくIEX、新興の株取引市場が売買高で既存の証取抜く - Bloomberg

 

 本書から何を学ぶか~時間は相対的なもの

 

時間は相対的なものである。時間を分で認識する人と秒で認識する人には60倍の差がある。秒で認識する人にとっては1分は秒の6回という長さを持つ。一方分が認識の単位であれば分は1回である。

コンピュータのアルゴリズムはミリセカンドで認識できる。従って人間はコンピュータを使う事で時間を拡張したという事である。但しコンピュータに使われず、コンピュータを使う人にとってのみだが、、、。

私が本書から実感した事、それは時間は人によって相対的である、という当たり前の事実。

蛇足

 人より長い尺度で時間を認識する、それも重要

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