毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

あなたがよりかかっているもの、それは幻想である。~大前研一氏の処女作「悪魔のサイクル」(1973)より

 悪魔のサイクル 2013年新装版 大前研一BOOKS (NextPublishing)

本書は1973年発行、今から約40年前、大前氏の数多い著作の第1作目。

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 41ページ、明治が個人主義を掴もうとしていた時代、と表現 (平成15年の第13版の旧版)

大前健一氏の覚悟

 

専門家の目には、こどもっぽい気負いのように映るかもしれない。しかし、ここには当時の私の覚悟のようなものがある。列挙してみよう。

 

 

原子力の勉強をして、安いエネルギー資源を日本に確保する。

 

 

・石油は燃やさずに石油合成科学の原料として生かす。

 

 

・長期の需要にたえうる燃料が、簡単に貯蔵できる原子力を国内山号として確立する。そうしておくと、たとえ石油がピンチになっても、かつてのように軍事力に依存しないで済むからである。(28ページ)

 

東電と重電メーカー

 

 

日立や東芝の顧客には、周知のように東京電力という巨大な会社がひかえている。東電と日立・東芝との取引推移をみてみると、国産化・自力開発と密接な関係―端的に言うと反比例の関係-にあることがわかるのである。・・・東電は日立・東芝が独力で開発した製品をハナから問題にしていないからだ。東電がGE社の技術を高く買っていることは、周知の事実である。もともと東電とGE社のつきあいはずいぶんと古い。東電の欲している点を一言でいうと、日立や東芝の「工場」で、GE社の「技術」を製品にかえる事である。つまり両者は、単なる製造工場にすぎないということであった。(178ページ)

 

悪魔のサイクル

 

大前氏は日本の企業における意思決定が「同心円的なよりかかりのサイクル」に依存していると言う。主体性の無い発想では独創性、チャレンジ精神は生まれようがない、と主張する。米国マサチューセッツ工科大学留学後日本企業に入社し日本の原子力産業の「よりかかり的思考法」にどっぷり浸かっている事を知り「悪魔のサイクル」と名づけた。

時間と空間を越えて

 

あれから40年、我々はその後の日本企業の成長と停滞を知っている。日本企業の成功の多くの部分が「世界のハイテク工場という同じビジネスモデル」であり、そこに留まった企業はその後停滞にはまり込んだ。もっと言えば日本企業だけでなく、世界中の多くの企業が「悪魔のサイクル」に陥っていた。

 
我々は孤独であるとういう覚悟

 

 

人は孤独に耐えなければいけないのである。よりかかる物は無い事に気づく必要がある。孤独に耐え、その自由な行動が大きな果実をもたらす。孤独だからこそ、他人が私に共感してくれるものである。大前氏のその後の活躍がそれを証明してくれている。

蛇足 

よりかかっているは幻想である。

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