毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ビジネスにおしてコピーした方がいいもの、それは戦略性~『チャイニーズ・ドリーム~大衆資本主義が世界を変える』 丸川 知雄氏

 チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える (ちくま新書)

丸川氏は中国産業論の研究家。カネも技術もなくても起業に挑戦する普通の庶民のハングリー精神と、彼らが生み出すイノベーションにある!2013年刊

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「その他企業」=民間企業

 

 
中国の産業構造~実は民間企業の割合は約半分

 

 

鉱工業生産額に占める国有企業の割合は年々下落し、2011年には26%にまで下がった。

このペースで国有企業のシェアの減少が続けば2020年を過ぎる頃にはもう中国は「国家資本主義」と呼ぶよりもだだの「資本主義」と呼んだ方がふさわしい体制になるだろう。・・・これまでの趨勢から判断して「国家資本主義」(あるいは「官僚金融産業資本主義」等々)は2020年代には「賞味期限切れ」を迎えるだろうと私は予測する。(186ページ)

2009年頃がピークだったコピー携帯電話(山寨手機)

 

ゲリラ携帯電話産業の最もイノベーティブなところはその分業構造そのものにある。世界的に携帯電話産業の寡占化が進み、日本の大手メーカーもどんどん淘汰されていくなかに、1300万円ほどの資金があれば携帯電話メーカーになれるという構造は極めて画期的である。(91ページ)

中国の民間企業の担い手

 

大衆資本主義とは、金融資産や人的資本を一般の国民に比べてきわだって多く所有しているとは言いがたい人々が起業して資本家を目指すプロセスが同時かつ大量に起きる現象である。(222ページ)

中国スマートフォン小米科技(Xiaomi、シャオミ)

 

2014年中国のスマートフォン市場1位は小米科技、2010年に中国大手ソフトウェア会社のCEOの経験者たち6名が集まって設立された。CEOはスティーブジョブズのスタイルを取り入れ、キャッチコピーは「Just For Funs」。小米科技は経営Teamを組成し、成功企業の戦略を徹底的に研究している。2009年にピークを迎えたコピー携帯電話は大衆資本家がその担い手だった。一方スマートフォンの小米科技は経営スタイルが進化している事を示している。

プレゼンスタイルもコピーして世界第4位

 

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中国でアップル抜いた!中国で人気スマホ小米(Xiaomi)シャオミの勢いが凄すぎる - NAVER まとめ

中国の民間企業は次世代へ進化

 

小米科技の本質は先行する企業の経営戦略・資本主義の利用を徹底的に研究、必要な所はコピーした事と考える。小米科技自体は2010年の設立、しかしその前にコピー携帯電話という産業が果たした役割も大きい。①大衆資本主義から大企業が生まれる、②知的所有権のコピーから資本主義の利用方法のコピーへ、進化のサイクルが加速し始めた。

我々はチャイニーズドリームから何を学ぶか?

 

第三者の知的所有権をコピーする事は許されない。しかしもっと上のレイヤー、例えば成功企業の経営戦略をコピーする事は何の問題もない。チャイニーズ・ドリームもまた世界の共有財産、我々も学ぶべきもの。

蛇足

 

「先人の経験」を学ぶ事にこそ本質がある。

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