数式のxは誰がいつから使い始めたか?~数学記号の誕生
xを使った方程式、今では当たり前の事。人類はここに到達するのに長い年月をかけてきた。17世紀以前、ニュートンの万有引力もまた記号を使わず、言葉と図表によって表現されていた事になる。2014年刊
未知数と既知数
今なら2次式をax^2+bx+cと買いても、すぐに未知数がどれで特定の既知数がどれか区別できる。ヴィエトは未知数を表すのに母音(a,b,c・・・に相当)を使い、子音(x、y、z・・・に相当)は既知数を表すために使った。この約束事は2つの事をする。既知数を表すこのと未知数を表すものとの混同をさけ、また、もっと重要なことに、複数の未知数を可能にする。これによって1本の方程式で未知数どうしの区別もできるようになる。(191ページ)
数学の記号は抽象的である事が重要
自然言語では、どんなに注意深く選んだ単語でも、推論を左右する力をもった、隠された意味を引きずっている。・・・数学の記号も意味を表していることがあるが、その目的は純粋な思考を進めることだ。
数学を言葉でなく、記号で表示する
言葉で数式を表示する
未知の量とある数の和の平方は、未知の量とある数それぞれの平方の和に、未知の量とある数の積の二つ分を足したものに等しい。
記号代数学によって数式を表示する
( x+a )^2 = x^2 + a^2 + 2ax
記号代数学
ヴィエト、デカルトらにによって記号代数学は17世紀に誕生する。記号代数学は多くの情報から既知数aと未知数xの関係だけに抽出する。aとxは単純に言葉を短く標記したのではなく、「aが既に知られた固定された値」であり、「xが変動する未知の数」という前提が一文字に込められている。
一文字に込められた壮大なアイデア
「文字を抽象的に使って、関係する対象の一般的な性質を表したことであり、それとともにその文字が数と同じように代数的推論や規則に従うという壮大なアイデアだった。」(190ページ)
文字操作により代数的推論ができるというのは言葉で数式を表したのでは到達できない思考をもたらす。aが既知の固定値で、xが未知の変数、これが現在の我々にとっては共通の前提条件である。aという一文字は思考過程を圧縮している。
どうして数学が判らなくなるか?
数学の記号は「人間がこれまでに生み出してきたどんな自然言語よりも覚えにくい印、符号、記号のぬかるみで世間を見失う」(15ページ)
学生時代、数学に苦労してきた訳が今様わかった。
蛇足
記号は思考過程を圧縮して表している
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