毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

本は死なない~「Amazonキンドル開発者の独白」を電子書籍ででなく、リアルな本で読んで思う事。

本は死なない Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」

初代キンドル開発者にして、電子書籍の基準を創った天才の独白。「紙の本をそのまま最初から読む時代(Reading 1.0)から、デジタルの特性を活かした電子書籍を堪能する時代( Reading 2.0)へのシフト」

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原著のタイトルは「Burning the page」(ページを燃やせ!)著者は実体としての本から電子書籍への急激なシフトを予想する立場に立っている。著者が実体としての本を読む場合の脳機能に言及した部分を引用。

 

神経生物学からみた読書~文字は音声に変換されて高速認識されている

読書中の脳の働きは見時に意味を付加していく作業とも言える。(中略)私たちの脳も、後頭側頭部回という部位に文字を視覚情報として保存する。・・・それから側頭葉が記号としての文字を音に変換し、その音が後頭部にある前帯状回で頭の中の声として再生される。その後左側頭葉と右小脳、それにブローガ野という部位が働いて、この音声から意味を取り出す。・・・処理速度は非常に早く、読書のみに集中していれば、0.1秒以内で一つの文字を解読できる。(102ページより再構成)

リアルな本の特徴

本そのものには、文章以上に複雑な面がある。長年読書の経験を重ねてきた人間の脳は、ページに書かれている文章の意味だけでなく、本全体を読書対象として捉える。本を読みながら、文字の形やページのレイアウトとも対話を交わす。何かを強調するときに変わった書式の文字や目立つ見出し、斜体文字が使用されるのはそのためだ。

紙の本の場合は、手で触れることができる実体であるという点も非常に重要で、読書の感覚と関わってくる、この意味では、ページをめくる動作にも情報を脳に定着させる効果があると言える。私たちは本を読むとき、あるページが本全体の中でどの辺りに位置しているかを、地図で確認する様に視覚的に確認するからだ。(103ページ)

 

f:id:kocho-3:20140624080910p:plain私の読み方は脳の習慣には適合しているが、、、

 

 

人間の思想を伝達するメディアの変遷として、電子書籍を説明。

 口承、写本、印刷本、そして電子書籍、メディアの変遷

ソクラテスは「文字を読む形では、学んだことに対する考えを掘り下げることができない」(233ページ)と考えていた。その考えを弟子のプラトンが「パイドロス」に記述した。口承から書物への変化である。

グーテンベルグの16世紀の富裕層は「写本と比べ、印刷された本は人間味に欠ける」(209ページ)という理由から印刷した本を拒んだ。

「人間の思考を伝承する」方法は、口承~文字による写本~文字による印刷本と変化してきた。そして今文字による電子書籍に移ろうとしている。この変化による最大の差はインプットスピードの向上であろう。口承で一人の師から伝授を受ける事が最高に密度の高い情報伝達であろう。写本、印刷本と習慣から違和感はあるものの、インプットが効率的というメリットがあるが故にシフトしてきた。我々は印刷本による習慣に囚われている。「こちょ!」が考えるに、いずれ電子書籍がインプットのメリットで台頭していく事は間違いない。更に言えばインプットの究極は脳への直接ダウンロードであり、電子書籍とてそれまでの“つなぎ”かもしれない。

f:id:kocho-3:20140624074603p:plaincan you fly that helicopter - YouTube

ネオとトリニティがビルの屋上に追い詰められる。ネオが駐機している軍用ヘリコプターを見てトリニティに聞く:“Can you fly that helicopter?”   トリニティが応える:”Not yet“

彼女は携帯電話で操縦プログラムを彼女の脳へのインストールを指示。閉じた瞳が数秒間動き、ダウンロードが完了、“Let’s go.”。

蛇足

電子書籍へのシフトを(いつか)受け入れる。