毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

脳内タイムトラベルの思考を実際に実行に移す~書評「脳の中の時間旅行」

脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのか

ハモンド氏はサイエンス・ライター、アナウンサー、心理学者。2014刊

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夜と霧の作者、フランクルアウシュビッツ収容所で、「将来自分がアウシュビッツの経験を講義する」姿を想像(しそれを実現した)

 

将来思考とは脳内で将来にタイムトラベルする事

 

自分が時間を越えて存在しているという感覚で、ある出来事を繰り返し経験したり、事前に経験したりできる能力に表れている。事前の経験というのは、それをしようと思うだけでなく、それをしたらどう感じるかを想像することも含まれる。(193ページ)

過去の記憶がタイムトラベルを可能にする

記憶は柔軟なので、違った記憶を一つにまとめて新しい架空の光景もつくれる。記憶の柔軟性こそが、将来を考える鍵のように思える。・・・違う時期に生じた記憶の断片は不変のものではない。それらは変化して、果てしない想像をする可能性を与えてくれるのだ。・・・記憶の根本的な目的は過去を振り返ることではなく、前をみて将来の可能性を想像することに関わっているのではないか。(205ページ)

将来を想像する時強い感情が生じる

その答の中心には、不確定という考え方があるのかもしれない。・・・感情とは行動に備え、悪い事をさけて、良いことを受け入れる心構えをするためのものだという理論がある。・・過去を思い出すときには次の行動に備えるわけではないので、そこまで強い感情を引き起こす必要はない。(207ページ)

脳のタイムトラベルは海馬を活性化

遠い将来を考えるほど海馬が活発化するという事実だ。将来を想像する時に使われる脳の領域の一部は、他人が何を考えているかを気にして、その人の精神状態をシミュレーションしているときにも使われるというのも興味深い。これは将来を考えるときにも同じように、違う時間と場所にいる自分の精神状態をシミュレーショしていることの表れではないか。(197ページ)

タイムトラベルするのであれば遠い将来、そしてもちろん愉しい将来

遠くまでタイムトラベルするにはより想像力が必要である。その時に必要になる記憶は遠い過去からの情報なのである。タイムトラベルの単位を前後10年で考えれば現実と近づき、前後100年で考えれば記憶の出番は少なくなり想像力が必要になる。1000年、1億年とスパンが長くなればなるほど想像力の範囲が増えるのは当たり前。

そして愉しい将来にタイムトラベルすればいい。歓喜に包まれ、身も心も踊りだす未来を想像すればいい。

遠くなおかつ愉しいタイムトラベルの思考を意識的に行う事。そしてそれを一つでも実行に移す時、全てが始まる。

蛇足

今日、タイムトラベルから何を現実化させるか?

蛇足の蛇足

 

我々は過去に囚われ未来を想像できない存在である~不確実性下の意志決定論で確率的に証明済み - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ