毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ビジネスとプライベート、これを同じフレームワークで分析したら?~優先度と重要性の4象限

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

本書は『イノベーションのジレンマ』をはじめ、多数の名著を著した技術経営の大家クレイトン・クリステンセンが、これまで自身が教えてきた経営戦略を人生訓に落としこんで語る1冊。

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ビジネスの4象限~重要性の判断

事業計画や業務計画を立てる時、「重要だけれども長期的に重要な事」を期日のある目標に設定しなさい、といわれる。一言で言えば「仕事を評価するものさし」を明確にしなさい、という事。How wii you measure your business?

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ビジネスにイノベーションが必要なら

ビジネスの構造を変換する様なイノベーションを達成する事は重要度は高いが緊急度は低い仕事に当てはまる場合が多い。そこで必要になるのは短期的には成果の現れないイノベーションへの取り組みを如何に評価するか?如何に事業計画に組み込むか、と言えいる。

(※補足:本書ではクリステンセン氏は直接4象限を使って説明してはいない。)

 

多くの企業の陥るケース(ユニリバーという大手化学メーカーを例に)

私は社内イノベーターの10年以上にわたる取り組みを調べた結果、ユニリバーが(または同社のような多くが)知らず知らずのうちに、最も優秀な人材にバンドとシングルヒットだけを打つように指導しているのだ、と結論づけた。・・・同社の上層部は最も優秀な人材(次世代リーダー)を選抜する。次世代リーダーには特定の製品や市場に関わるすべての機能部門を18カ月から2年ごとの任期で一通り経験させる。・・・建前上はユニリバーが5年から10年後に成功する鍵となるような製品やプロセスを推進すべきだ。だかその様な取り組みの成果は、数年先にならないと現れないため・・・(78ページより再構成)

多くの達成動機の高い人の陥り安い罠

達成動機の高い人たちが陥りやすい危険は、いますぐ目に見える成果を生む活動に、無意識のうちに資源を配分してしまうことだ。これはキャリアであることが多い。製品を出荷する、デザインを仕上げる、患者を救う、商談をまとめる、授業で教える、訴訟に勝つ、論文を発表する、給料をもらう、昇進を勝ち取るなど、自分が前進していくことが最も具体的に見える分野だからだ。(81ページ)

家庭での長期計画

達成動機の高い人たちは、仕事でこうなりたいと思う自分になることに没頭して、家庭でなりたい自分になることをおろそかにしがちだ。立派な子供を育て、伴侶との愛を深めることに時間と労力をかけても、成功したという確証が得られるのは、何年も先のことだその結果、キャリアに投資するあまり、家庭には十分な投資をしなくなる。そうして人生の大切な部分から、花開くために必要な資源機会を奪っているのだ。(87ページ)

 

ビジネスの評価は短期的に現れるものから長期的に現れるものまである。経営においても短期的な目標に固執する問題点は指摘されてきた。家庭においてはどうしても長期的な目標、逆に言えば短期的な成果が期待し難いものの比重が大きい。「一生」という時間軸の味趙長期的な目標である。ここを明確にする事を考えなさいという主張。ビジネスとプライベート、家庭、趣味、・・・様々なゴールを重要性と緊急度という同じフレームワークで分析する事でより明確になる。

蛇足

人生のゴールは沢山ある方がいい。