毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ネットビジネスとは、人々に上手にコンピューターを使わせるかを競っていた~『戦略がすべて』瀧本 哲史氏(2016)

戦略がすべて (新潮新書)

瀧本氏はイノベーション論の実践家、どの世界にも各々の「ルール」と成功の「方程式」が存在する。それでは資本主義社会の攻略法とは?(2016)

 

 

ネットビジネスが儲かる一つの理由は、利益を上げることに徹していることにある。・・・ネットビジネスは、コンピューター処理や消費者自身のアクションによって、これを自動的に行っていることに強さがある。(67ページ)

メディアの収入源はコンテンツ販売と広告

【コンテンツの作成】消費者が欲しがるコンテンツをどう提供するか。検索機能を通じて消費者のニーズを吸い取ったり、消費者自身にコンテンツを作らせる。(ユーザーによる動画の投稿、SNSの書き込みなどがこれにあたる)。

コンテンツの質についても、大量のコンテンツを低予算で用意し、反応の良いものが自動的にトップに上がるようなインターフェースを作ればいい。

【コンテンツの販売】集客についても・・・新興サービスは市場が寡占状態になっていたり、消費者がお互いに紹介しあったりするので、集客努力はかなり少なくてすむようになっている(宣伝しなくてもユーチューブやフェイスブックはみんなが使っている)。

【広告】広告は、コンテンツの関心分野と広告主の関心分野を高確率でマッチングする仕組みになっている。重要なポイントを、人力ではなくコンピューターのアルゴリズムを用いて自動化し、データによって精度を上げていくからだ。(68ページから整理して引用)

既存メディアとネットメディアの競争

ネットメディアと既存メディアの戦いというと、「電子」と「リアル」という形で比較され、リアルとは紙や店と思われがちだが、実はリアルとは人のことである。つまり、コンテンツの作成と課金モデルの接続を、コンピューターアルゴリズムにより自動化するか、それとも人間の判断に頼っていくかの競争なのだ。(72ページ)

コンピューターを効率的に使う

既存ビジネスとネットコンテンツビジネスの比較によりネットの持つ本質が理解できた。今更ながらではあるが、ネットとは一つのコンピューターであり、ネットを使う個人はコンピューターの処理能力を利用している。あるいはネットを使うことで知らず知らずにコンピューターにデータを提供している。

コンテンツビジネスはユーザーの嗜好に左右されるコンピューター処理の真逆にあるものだと考えてきた。コンピューターはコンテンツ・マーケティングにはきわめて強い効果を持ち、広告ビジネスとも相性が良い。コンテンツを作ることすらプレマーケティングを活用することで高度化できる余地がある。

ネットビジネスは時間と空間を安価に超えられることにメリットがあると理解してきた。それだけでなく、ネットビジネスはリアルなデータをコンピューターに直接リンクさせ、コンピューターの処理を活用できることに気づく。我々はコンピューターというとPCを思い浮かべる。これに限らず、我々はネットワークを通じてコンピューターを常に使っていたのである。

ネットビジネスは如何にリアルとネットをシームレスに接続するか、そしていかにコンピューターに仕事をさせるか、が鍵である、と今更ながらに気づく。ネットビジネスとはいかに上手く巨大なコンピューターを使うかが鍵であった。

蛇足

スマホを使うことは巨大コンピューターを使うことである。

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