毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

東芝が「サザエさん」の単独スポンサーを止めたのはいつだったか?~『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい』本田哲也氏×田端信太郎氏(2014)

広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。

本田氏は戦略広告コンサルタント、田畑氏は広告を出稿する立場、インターネットの普及などにより流通する情報量が爆発的に増える一方、 生活者はネットやHDDレコーダーなどを活用し、自分で情報を選択するようになっています。(2014)

 

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コストは安いがリーチ(対象)の狭い順番に、検索、ADNW、ポータルサイト、新聞、テレビの順番。IT技術の前は新聞以下のメディアは存在しなかった。

 

TVコマーシャルの現状

 

TVを中心としたマスメディアへの多額の広告宣伝投資を行うことが「消費者にとっての魅力的で強力なブランド構築や商品認知」をもたらし、そのことが「店頭での値下げ競争を回避し、高い利益率を獲得する基盤になる」という、過去数十年に渡って大手電機メーカー企業が莫大な予算をメディアに使い、たくさんの広告枠購入を正当化してきたロジックに根本的な疑問符がなげかけられるあることも確かではないだろうか

テクノロジーがメディア空間の主権を消費者に与えた

 

ドラマをリアルタイムではなく、HDDレコーダー経由で観ることや、ニュース記事を新聞ではなくウェブで読むことは、当該コンテンツのどの部分に、どの程度の時間を割いて接触するかについての決定権(つまり編集権と編成権)を、消費者サイドへとシフトさせるのだ。・・・消費者の立場に立っていえば、「自分が見たいものだけ、自分が興味のあるものだけを見たり読んだりして楽しむ自由」はどんどんと強化され、拡大していることに他ならない。(37ページ)

1日に「4000回」の広告メッセージ

 

現代を生きる僕たちは、なんと1日に4000回もの広告メッセージ-商品やブランドのキャッチコピーやネットの動画やパンフレットやテレビCMなどなど-を浴びているといわれている。・・・世の中に情報総量が増えたことも、結果として量としての広告メッセージを増やしている。そこでさらに、企業はこぞって「何かを発信しないとマズい」という脅迫観念に陥り、それがまたメッセージを増やすという悪循環にもなっている。特にソーシャルメディアの世界では、「語られていない商品は存在しないも同じ」という何とも残酷かつ身も蓋もない認識が浸透しつつある。(238ページ)

ゴールデンタイムのなくなった日

東芝は1998年「サザエさん」の一社提供を降り、パナソニックは2103年「パナソニックドラマシアター(ナショナル劇場)」の一社提供を降りた。私は家電メーカーの業績が悪くなったことが要因だと思っていた。それも要因ではあるがCMの効果が落ちてきたこともあると知る。(CMの効果が落ちたから業績が悪化したとも言えるが、、)

家庭でTVを囲むということも少なくなった。スマホで好きな番組をめいめいで見ている。もはやかつてのような、TVのゴールデンタイム日本では19:00~22:00)はなくなってしまった。

新しいテクノロジーと新しいメディア

検索、ADNW(※)、ポータルサイトなどはITが登場して初めて可能となった広告メディアである。ITの前はTVコマーシャル、新聞でありここに出稿できるのは広告料金などから事実上大企業に限定されていた。新しいメディアは媒体コストが低下した影響で、大企業でなくても広告を出せる可能性が広がった。だから我々は新しいメディアで1日4000回広告を見せられているのだと気付く。

※)アドネットワーク:インターネット広告のうち、広告媒体のWebサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、その多数のWebサイト上で広告を配信するタイプの広告配信手法

蛇足

業界の常識は世間の非常識

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