毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

広告とは技術である"我々は売る、そうでなければ存在する価値がない。"~『ある広告人の告白[新版]』デイヴィッド・オグルヴィ(原著1964)

ある広告人の告白[新版]

 広告の天才にして偉大なる経営者、デイヴィッド・オグルヴィによる広告人のための教科書。戦後、37歳でニューヨークを本社とする広告会社を設立、後に合併し、現在オグルヴィ&メイザーとして知られる国際的大手広告会社となる。1999年没。(原著は1964年)

 

近代広告の父、デイヴィッド・オグルヴィ

 

自身コピーライターだったデイヴィッドは、広告の雰囲気や色、コピー、ユーモア、エモーション、そして何よりもアイデアにこだわりました。クリエイティビティを重視したその「ソフト・セル」の方法論によって、広告は一歩前進することになりました。それが、デイヴィッドが「近代広告の父」と呼ばれる由縁です。

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大きな約束こそが広告の真実である

 

成功のカギは、たとえばもっと美味しいとか、より洗い上がりが白くなるとか、もっと燃費がいいとか、顔色がよくなるとかいうふうに、消費者に利益を約束することだ。(25ページ)

広告は真実を語れ

 

消費者はバカではない。消費者はあなたの奥さんなのだ。つまらないスローガンと気の抜けた形容詞の二つ三つも与えれば奥さんが何か買おうと思うなら、彼女の知性に対する屈辱だ。彼女はあなたが与えられるすべての情報を欲しがっているのだ。(173ページ)

広告は社会的費用を削減させる

 

P&Gのハワード・モーガンも、最近、本質的にこれと同じことを言っている。「わが社では、新製品の広告を始めると、広告費用の総額を上回る経費節減がもたらされるのを何度も目撃している。・・・広告によってお売り価格が下回るのは明らかだ。」ほどんどの業種で、広告費は消費者価格の3%以下だ。

広告によって消費者に不良品を押しつけることは可能か?

 

マーケティングと広告研究で著名なアルフレッド・ボリッツや、P&Gのハワード・モーゲンスは、実は広告のおかげで欠陥商品を消滅に追い込むとことができると信じている。モーゲンスはこういう。品質の劣るブランドを消滅させるのに一番手っとり早い方法は、積極的に宣伝することだ。その質の悪さが,それだけ早く人々に知れ渡る。」

彼は続けて、広告が製品の品質向上に重大な役割を担っていると指摘する。・・・企業の広告ん正否は、製品の改善の正否と密接に関わっているのだから、それも当然のことだ。(264ページ)

広告は製品を、会社を変える

 

「時間に正確」で「信頼できる」というKLMオランダ航空の広告を我々が流し始めると、同社の経営トップは、わが社がこの広告で約束したことを裏切らないようにという回覧を作業要員にまわした。優れた広告会社は、さまざまな産業の評議会において、消費者の利益を代弁していると言うことができるだろう。(265ページ)

どうして広告を必要悪だと思うのか?

 

我々は広告を必要悪、あるいは消費者を欺くもの、といった負のイメージをどこかで持っている。それは経験で誇大広告や、看板倒れによる、苦い経験を持つからであろう。

近代広告の父といわれるディヴィッド・オグルヴィはクリエイティビティを追求した。消費者に製品の特徴を一瞬で理解させるキャッチコピー、更には製品や会社そのものをもっと良くしてしまう、広告。これらをオグルヴィはビッグアイデアと呼んだ。そしてビックアイデアは技術と努力によると語る。つまりは「バントをするな。場外ホームランを狙え。」高い水準のアイデアを求める人にだけ、ビックアイデアはやってくる。そして彼の広告人としてのモットーは"我々は売る、そうでなければ存在する価値がない。"

蛇足

 

クリエイティビティとは技術と努力である

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