毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

Googleの強みは低コストと高性能を両立したコンピュータメーカーである~『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』梅田 望夫氏(2006)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

Googleは高品質なサービスが無料で提供されるようになった。どうしてGoogleはそれを実現できたのか?(2006)

Googleとは

 

1998年設立、検索エンジンクラウド・コンピューティング、ソフトウェア、オンライン広告といったインターネット関連のサービスと製品を提供するアメリカ合衆国の多国籍企業である。収益の多くをアドワーズAdWords)と呼ばれるオンライン広告から得ている。(Wiki

f:id:kocho-3:20151129164900p:plainGoogle server assembly | 102662167 | Computer History Museum

 

コンピュータ・メーカーが絶滅していた

 

90年代にPC産業が巨大化し、マイクロソフトのOSとインテルのマイクロプロセッサだけに付加価値が集中したことはよく知られている。…インテルマイクロソフトが規定するPC周辺での価格性能比の向上スピードに敵わなくなったという理由で、全く新しいコンピュータ・システムの設計は、コンピュータ・メーカーによって行われなくなってしまったのである。

グーグルの二人の創業者(セルゲイ・ブリンラリー・ペイジ)は、活用されていない(コンピュータサイエンスの)10年の間の学問的進歩がIT産業に、活かされていない現実を百も二百も承知していた。(66ページ)

ハードも自前で開発

彼らが考えたのはネットの「あちら側」に自分たちが作る情報発電所は、「コンピュータ・システムそのものを設計する」という学問分野におけるここ10年の成果をすべてぶち込んで、全部ゼロから自分たちで作ろうということだった。価格性能比向上スピードが著しいマイクロプロセッサやストレージといった部品群を大量に並べて、大規模な情報を高速に信頼性高く処理できる低コストのコンピュータ・システムを作ろうとした。…グーグルは、PC産業興隆の副作用として消滅した「本当にコンピュータ・メーカー」になろうとしたのだ。(67ページ)

ソフトはリナックスの上に独自開発

(2003年グーグルのチーフ・オペレーションズ・エンジニアの)講演の骨子には「数テラバイトのデータ、30億のウェブ上の文書にインデックスをつけ、毎秒数千リクエストをさばく検索エンジンをいかにして作ったか。1万台以上のリナックスサーバーでできているんだよ。」と記載されている。・・・グーグルは情報発電所を作る上で、無数のオープンソースプログラマーの貢献によって出来上がったリナクックスをはじめ、多くのオープン・ソース・プロジェクトの成果を無償で利用して、その上に自社のシステム・ソフトウェアを構築した。(69ページ)

Googleとはコンピュータ・メーカーである

 

Googleと言えば“検索”である。その優位性はコンピュータ・メーカーとしての戦略に由来していた。Googleが沢山のコンピュータを使っていることは容易に想像できるが、彼らは最新のコンピュータサイエンスの知見で独自に作っていたのである。

誰もが難しいと思ってやらなかったことをやったのである。梅田氏はグーグルを「優秀な人間が、泥仕事を厭わず、自分で手を動かす」という企業文化だと説明する。Googleの本質的競争力はコンピュータ・メーカーとして徹底した低コスト戦略にある。

Googleオープンソースに関わる多くのエンジニアに活躍の場を与えた、あるいは彼らの声を代弁し一つにまとめ上げた、という表現もできる。

本書は今から約10年前に執筆された。Googleの本質的競争力は変わっていない。

蛇足

 

Googleはコンピュータを売らないコンピュータ・メーカーである

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