毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

超新星は重元素の"タマネギ構造"~『星が「死ぬ」とはどういうことか』田中 雅臣 氏(2015)

星が「死ぬ」とはどういうことか (BERET SCIENCE)

 

田中氏は超新星爆発を研究、夜空の星はいつも変わらず輝いているように見えますが、星のなかには一生を終えるときに大規模な爆発を起こし、非常に明るく輝くものがあります。これを超新星爆発といいます。(2015)

 

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重い星~「太く短く」

宇宙には太陽と比べて、10倍以上重い星も存在しています。そのような重い星の数は太陽のような軽い星の100分の1しかありませんが、このような星の一生は太陽より圧倒的に華々しいものです。・・・重い星も太陽と同じように核融合反応によって輝いています。・・・太陽は約100億年かけて水素を使い尽くしますが、太陽の20倍の質量を持つ星は約1000万年で水素を使い尽くしてしまいます。

たまねぎ構造

太陽のような星は、炭素・酸素からなる白色矮星を残して一生を終えるのでした。しかし重い星では、太陽のような軽い星よりも中心の温度が高くなるので、この炭素の核融合まで起きてしまいます。炭素の核融合が起きると、(酸素、ネオン、ケイ素、硫黄、などが次々作られ最終的には最も安定な原子核である鉄に落ち着くところまで反応が進みます。

重い星の中では、次々と核融合反応が進んできます。新しい核融合反応は星の内側で起きるので、前の核融合反応で作られたものは、より外側に存在することになります。このようなたくさんの層ができるため、重い星の最後はの状態は・・・たまねぎの構造になっています。(74ページ)

重力崩壊~超新星爆発の引き金

鉄の原子核は非常に安定であるため、これ以上核融合によってエネルギーを発生することができません。星は自分の重みによっていつも中心に向かってつぶれようとしていますが、これまでのように核融合のエネルギーでどれに対抗することができないのです。星はもうつぶれるしかありません。すると、星はもうつぶれるしかありません。自身の重力によって星が崩壊するため、この現象は「重力崩壊」と呼ばれています。(75ページ)

超新星爆発は元素を宇宙にばらまく

重い星は重力崩壊型超新星としてその一生を終えます。・・・超新星爆発が起きることによって、星の中で新しくつくられた元素と、超新星爆発の瞬間につくられた元素の両方が宇宙空間に飛び出すのです。(144ページ)

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超新星(supernova)は、大質量の恒星が、その一生を終えるときに起こす大規模な爆発現象である。超新星 - Wikipedia

核融合反応

 

ヘリウム原子の質量は水素原子の質量より7%軽い。太陽で水素からヘリウムに変換する場合この7%がエネルギーとなる。これが太陽が輝いている理由である。7%がE=MC^2【(エネルギー=(質量×光速)の二乗】によってエネルギーに変換されるのである。

超新星のメカニズムは究明されているが現在のコンピュータを使っても重い星の誕生から爆発までをシミュレートできないという。超新星爆発の段階でニュートリノが発生し影響するがこのモデルを使うと計算量が多すぎるからだ。(97ページ)

地球の歴史が47億年、超新星の寿命は1000万年、宇宙は常に新陳代謝をくり返している。

蛇足

 

銀河系の超新星爆発は1604年ケブラーの観測以来、見つかっていない。

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