毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ガンダムのデザインの前提は「嘘のないデザイン」~『メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人』大河原 男 氏(2015)

メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人 (光文社新書)

大河原氏は 日本初のメカニックデザイナー、「私が心掛けているのは、たとえアニメの世界であったとしても『嘘のないデザイン』をすることです。」(2015)

 

メカニックデザイナーという仕事

アニメに登場する巨大ロボットや宇宙線をはじめ。武器やネジまでありとあらゆるメカや機械を描きます。私が設定した絵を基にアニメーターたちが絵を動かしていくのです。1972年に「科学忍者隊ガッチャマン」でデビュー以来、「タイムボカンシリーズ」「機動戦士ガンダム」「太陽の牙ダグラム」「装甲騎兵ボトムズ」といった作品に関わってきました。(19ページ)

メカニックデザイナーと玩具

 

私がデビューした1970年代は、アニメ制作のゴーサインが出るにはスポンサーである玩具メーカーが「首を縦にふるメカデザイン」をしなければいけませんでした。私はメカを描くだけでなう、玩具のモックアップ(模型)を自己流で試作し、それを使って玩具メーカーにプレゼンするkとおもありました。つまり、玩具メーカーに玩具の見本を見せて「これが変形して、合体します。これは子どもは喜びますよ」と売り込むのです。(21ページ)

機動戦士ガンダム

 

それまでのロボットデザインは、円柱と角柱の組み合わせが基本でした。でも、そのイメージを変えたくて、ふくらはぎを連想させるシルエットを取り入れたんです。・・・・ガンダムはどんどん人間的なものになっていきました。(58ページ)

玩具の色

 

玩具の色に関しては売れる色というのがあります。ガンダムに採用されたのは「玩具三原色」と呼ばれる黄、赤、青でした。この3色でうまい組み合わせを変えるとショーケースに置いたときに、子どもたちがすごくそそられるみたいです。・・・玩具屋のショーケースの中で、他社のロボットと戦って勝たなければいけません。戦いはアニメの中だけではないんです。(59ページ)

メカニックデザイナーの成果

メカが登場する話に、子どもたちは一喜一憂し夢中になってくれました。アニメを持て、未来を想像したり仲間を大切に感じたり、テクノロジーに夢を馳せた子どもたちも、たくさんいただろうと思います。そして『ガンダム』などのプラモデルを通じ、ものずくりに影響力があったのかとも思います。

アニメーションの黎明期

 

アニメーションの語源はラテン語のアニマ(anima)、生命・活気という意味。手塚治の鉄腕アトムは1963年から1968年にかけて放送された。日本のアニメの出発点である。それから10年を経過していない1970年代、大河原氏はメカニックデザイナーという仕事を確立した。基本となる絵を描き、玩具にしたとき破綻を来さないような「嘘のないデザイン」を確保する。そして何より子どもが喜ぶものに仕上げることに心がけた。これらの制約があったからこそリアリティを確保できたのであろう。

世界を変える

ロボットアニメは1970年代日本で生まれ、ハリウッドにも影響を与えた。ガンプラは今でも日本以外のヨーロッパ、中国でも人気がある。更には科学者、技術者がアニメの世界観から開発のヒントを得ることもあるという。日本初の、(たぶん)世界初のメカニックデザイナーも、また世界を変えていた。

蛇足

 

大河原氏の自己ベスト1はザク(ガンダムの敵)

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