毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

法則は短期間で変わらないから法則である~『すぐに未来予測ができるようになる62の法則』日下公人氏(2002)

 すぐに未来予測ができるようになる62の法則

 時代の変化を恐れるなかれ。変化があれば、チャンスがある。「未来予測の達人」が、予測のための「法則」を大公開(単行は2002年、電子版は2016)

 

今日の贅沢は明日の必需品

工業化とは文化の普及段階であって、創造段階ではないということである。重要なことは、大衆が憧れるような本当の贅沢が事前に創造されていないと、大量生産や工業化は発生しようがないという点である。そして、産業革命前のヨーロッパで文化創造の役割を担ったのは貴族階級の華麗なる「恋愛ごっこ」であった。彼らをイノベーターとして文化の普及が始まったのが近代である。・・・このようにして出来上がったのがイタリア文化であり、フランス文化だが、そこで完成された文化や生活様式を大量生産しようとしたのがイギリスの産業革命であった。(78ページ)

現代資本主義はバブルそのもの

古い時代の産業では誰かから注文を受けてから仕事が発生し、職人たちは注文主の顔を思い浮かべながら生産を行った。それが現代では、食品でも鉄鋼でもアパレルでも、顔を知らない人たちの消費を見込んで、注文が来ないうちから先に生産してしまう。これはまさにバブルだが、日本も含めて世界の先進国はこうやって発展してきた。(176ページ)

脱工業化

産業がつくり出すものはすべて貨幣との交換用だから、人々がそれではあきたらないと思えば、次は「非交換用の、デーパートでは売っていない物が喜ばれるようなものである。

その方法は3つある。

第一は無交換の自給自足。各自が手作り製品を自家消費で楽しむ時代で、産業はそのための原材料や部材の供給にとどまることになる。産業にとっての付加価値は低下する。

第二は物々交換。またはサービスとサービスの交換。手作りのケーキを持参して勉強や趣味を教えてもらうなどがこれにあたる。・・・(節税にもなる)。

第三は工業製品の公共財化。あまりにも豊富になった工業製品のいくつかは価格の独立性を喪失して交換家庭から脱落する。たとえばトイレットペーパー、サービスのコーヒーやおしぼり、電波。さらに進んで負担を税に求めればもはや等価交換は成立せず、それは公共財になる。

以上が脱産業化への歩みである、これからの日本では、そのような「非交換用の生産活動」が随所で増えてくることだろう。(134ページ)

すぐに未来予測ができるようになる62の法則

産業革命は毛織物の需要が高まり、それを機械化で量産したことによって始まった。それではなぜ毛織物の需要が高まったのか?当時のヨーロッパは小氷河期で寒冷化が進んでいた。それと同時に毛織物のファッションが貴族の間で流行、羨望の的になっていた。日下氏はゾンバルトを引用して贅沢品が必需品になっていく流れを説明する。

それでは今お金持ちだけが享受できている商品・サービスは何であろうか?新たな贅沢品を創り出すのは実は簡単でなない。そこに工業製品の全般的なコモディティ化が進んでいる原因がある。

それでは脱工業化の流れは何を生むのか?キーワードは自給自足、物々交換、工業製品の公共財化などのキーワードが並ぶ。シェアードエコノミーはずいぶん前から想定されていた。それに情報技術が追い付いただけなのだと気づく。

我々はこれから何をすべきか?世の中にない贅沢文化を創造する、自給自足にあった製品を提供する、物々交換を最適化する、公共財化した工業製品を使って新たなサービスを考え出す、、、、。すべては人のやらないこと、人を幸福にすること、を考え実行することである。

蛇足

本書は2002年発行、14年前の法則は今も変わらない

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