毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

登山が”公園のエクササイズ”にしない方法~『冒険登山のすすめ: 最低限の装備で自然を楽しむ 』米山悟氏(2016)

 冒険登山のすすめ: 最低限の装備で自然を楽しむ (ちくまプリマー新書 264)

米山氏はNHKカメラマン、 冒険登山から学ぶ日常を冒険に変える方法(2016)

山登りとは何か?

山登りで一番芯となる楽しみとは、日常生活で失っている探検心と発券心を取り戻すことではないでしょうか。・・まず自分の足で歩き、背中に運んだでのだけで飲み食いし、雨が降れば濡れ、寒ければ火をつけ、暗くなれば眠ります。・・・私の好きな山登りは、その芯の部分を求めて道のない山や雪山に登り、それまで知らなかった山の一面を文字通り探検することです。(15ページ)

GPSはやめましょう

GPSは過程抜きの正解を持っています。・・・私ならばそれでも(GPSは)持ちたくありません。何より深刻なのはGPSを持つことによって、「僕は今、どこにいるのかわからないかもしれない」、という良質な不安感を味わえなくなります。この孤独感は、安心安全便利な下界ではおよそ感じることにできない、山歩きならではの畏怖です。(73ページ)

冒険登山とは

山登りとはそもそも危険と隣り合わせです。そしてそこにこそ山登りの楽しみが詰まっていると思います。

初級者にとっても、経験者にとってもいつ訪れるかわからない「多少のピンチ」をなんとか切り抜ける、それが冒険登山です。切り抜ける力を養うためにも、なるべく便利な道具などに頼らずに生身で天然の山に向き合いましょう。そうして初めて冒険旅行が楽しめるのです。(198ページ)

どの山に登るか?

私はまず、初めは住まいの近くの親しみのある山をお勧めします。もし山際に住んでいるなら、家の裏の山なら、歩いて行けるでしょう。都市の平坦な住宅街に住む人でも、晴れた日には平野の果てに山が見えるはずです。少し電車かバスに乗れば良いだけです。(11ページ)

冒険登山のすすめ

著者は「人で混んでいるいる山はもはや山ではなく、公園のようなものです。」(15ページ)という。著者は自分が背負えるだけの、なるべくベーシックな道具で冒険登山をする。GPSを持てば登山の性格は一気に代わる。著者の言うとおりGPSを持つことで畏怖が薄れるなら“冒険登山”ではなく“公園のエクササイズ”である。

それではGPSスマホをもって、冒険登山を味わえる良質な不安感を味わうにしたらどうしたらいいか?自分で決めた制約、自分のスタイルを模索することも冒険の第一歩であると気づく。我々に必要なものは“良質な不安”である。冒険とは自分でルールを見つけることである。

蛇足

マイルールが日常を冒険にする

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