毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

様々な金魚はどうやって生まれるのか?~『金魚はすごい』吉田信行氏(2015)

金魚はすごい (講談社+α新書)

吉田氏は江戸時代創業の金魚屋「金魚の吉田」の当主、たかが金魚、されど金魚。その知られざるディープな世界を紹介。(2015)

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金魚の由来

金魚は、以外にも日本原産ではなく、もともと中国で誕生しました。3-5世紀頃、中国南部の揚子江流域に生息していたフナの仲間が突然変異して、ウロコが赤い「緋ブナ」が生まれ、そこから金魚の原種であるフナ尾の金魚ができたといわれています。これがのちに1810年頃から「和金」という名称で呼ばれるようになります。(18ページ)

日本に入ったのは室町時代

日本に初めて金魚がやってきたのは、室町時代のことです。文亀2年(1502年)に中国(明)から泉州坂海(現・大阪堺市)に、和金(尾びれ1つのフナ尾の金魚)が伝えられたのが、最初といわれています。…1670年~90年代には、東京・上野の不忍湖畔の近くに、真鍮屋という名の大きな金魚屋があり、畳1畳分くらいの浅い木箱を70個並べて、金魚を売っていたことが記録に残されています。…当時真鍮屋で高いものは一尺の金魚を5両から7両で売っていたと書かれています。現在の金額に換算すると、おおよそ50万円から70万円に相当します。(23ページ)

金魚の品種は31種類

日本で公認されている金魚の品種は31種類です。中国や東南アジアで作られている品種を含めると、100‐200種類に達すると推測されています。・・・世の中には動植物がたくさんある中で、フナという一つの魚から突然変異と人為的交配を重ね、これだけ多くの品種ができたのは、金魚だけではないかというわけです。(60ページ)

突然変異を愛でる

日本では、突然変異でできた金魚でも、人工的に交配させてできた金魚でも、一代限りのものは品種として認められません。何代にもわたってかけあわせて、その種同士の金魚をかけあわせると、同じ色や形の金魚が生まれますよ、ということで固定されれば、そこで初めて新しい品種として認可されるのです。(65ページ)

金魚の多くは、固定されてからまだそれほど時間が経過していないため、人が手をかけずに自由に繁殖させると、あっという間に祖先返りしてしまいます。つまり、フナに近い形に戻ってしまうのです。なぜなら、金魚の特徴である多彩な色模様や体形は、劣勢遺伝子が作り出した突然変異という名の“奇形”にほかならないからです。(69ページ)

金魚はすごい

 

室町時代に日本にやってきて、江戸時代に普及、そして昭和に大衆化した。日本人にとって金魚は夏祭りの“金魚すくい”が原点であろう。私も子供のころ、金魚を飼っていた。吉田氏によれば長寿の金魚は40歳を超えるという。錦鯉が色のバラエティはあるが形はみな一緒である。一方金魚は色だけでなく形にもバラエティがある。金魚は奇形を「他と異なる個性的な魅力」として愛でるとう所から様々な品種が開発されたという。

金魚が日本に来て500年、これからも金魚は日本人に愛されるのであろう。

蛇足

 

吉田氏が一番好きな金魚は「琉金(りゅうきん)」

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