毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ラスコーの壁画と英フィナンシャルタイムの共通点は何か?~『MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体』田端信太郎氏(2012)

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体

 田端氏はマスメディアの内側のビジネスマン、メディアが毎日の隅々までを浸す「メディア爆発時代」。ビジネスの成否や、人生の質をも左右する、「メディア・リテラシー」(2012)

 

世界最古のメディアとは

私は最古のコミュニュケーション・メディアは(原始時代に描かれた)洞窟壁画がと思っています。何かを伝えたい、という発信者の思いがあるときに、それを伝達する「媒体・媒質」となるものこそが語源本来の意味での、メディアの定義となります。原始時代の洞窟壁画の場合は、洞窟の壁そのものが、この絵を描いた原始人の思いを伝えるメディアとなっています。もし地面の上に書かれていたのでは、雨に流されてしまうので、数万年の時を越えて思いを伝える媒体(=メディア)とはなり得ません。(25ページ)

メディアは受け手を必要とする

コミュニュケーションにおいては、「いいね!」や「ウンウン」と読者をうなずかせる、あるいは「何だ、これは!」でも構いませんが、受け手に何らかの印象を残し、心理的に、あるいは行動として反応がなされることが、その存在基盤となります。コミュニュケーションにおいては、受け手、読者、視聴者、ユーザーこそが王様なのです。(27ページ)

メディアが影響力を持つ理由

夜空を見上げれば、宇宙には無数の星が輝いています。そんな夜空の中に、天文学者や天文マニアが、新星を発見することがあります。しかし、時に全くの新星であるケースがあるものの、発見された星それ自体は、ずっと以前から夜空のどこかで光り輝いてきた可能性が高い。

ところが人類にとってみれば、天文学者によって確認され、名前を付けられて始めて、その存在が認識可能になります。つまり、天文学者という意思を持った観測主体と望遠鏡の役割を果たす媒体(メディア)が存在しなければ、そこには星は存在しないのと同じなのです。・・・メディアという観察者なしには世界は誕生せず、メディアという共犯者なしには、世界は成長していかないのです。(48ページ)

どうしてフィナンシャルタイム(FT)はブランドなのか?

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『フィナンシャル・タイムズ』とは : 世界を制した“超巨大”メディアの『ネット戦略』 - NAVER まとめ

 

「FT」自らが、紙をピンク色にしている理由を「他の日刊新聞と自分たち自身を区別してもらうための、独特なトレードマークとして、1893年から新聞紙にあのピンク色を採用し続けてきた」と公式見解で述べています。・・・(FTは)自社の立ち位置を「報道機関」としてだけでなく、「ラグジュアリーブランド企業だ」と自己認識しているフシがあります。(128ページ)

どうしてメディアは影響力を持つか?

 

ある意味世界は情報の発信者、受信者、そしてメディアの三位一体で成立している。メディアは世界の範囲を定義するからこそ影響力が生まれる。著者はメディアの究極の影響力をメディアが予言すると、世界を予言のとおり変えてしまう力=予言の自己実現能力と説明する。ラスコーの壁画からフィナンシャルタイムまでメディアは影響力を持っている。

蛇足

 メディアがなければ存在しない世界もある

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