毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

パラダイムには善玉と悪玉がある~『パラダイムの魔力 新装版』ジョエル・バーガー氏(新装版2014)

パラダイムの魔力 新装版

バーガー氏は経営コンサルタント、頭がよく常識ある人ほど、将来が見えずに取り残されてしまうのはなぜなのか?思考を縛る足かせでもあり、将来を予見して成功に導く魔法の杖にもなる「パラダイム」を解説。(原著は1992年、新装版は2014年)

 

パラダイムとは何か

パラダイムとは、ルールと規範であり(成文化されている必要はない)、①境界を明確にし、②成功するために、境界内でどう行動すればよいかを教えてくれるものである。(32ページ)

専門家の予言

「蓄音機に、商業的価値はまったくない」 トーマス・エジソン、1880年、自分の発明品について、助手のサム・インスルに

「空気より重いものが空を飛ぶというのは、まったく不可能ではないにしろ、実際には役に立たず、意味がない」サイモン・ニューカム天文学者)、1902年

「分別があり、責任感のある女性は参政権を要求しない」グローバークリーブランド(アメリカ22代・24代大統領)、1905年

「長距離移動の手段として、自動車が鉄道に取って代わるなどろ考えるのは、たわいもない夢である」アメリカ道路協議会、1913年

「人類が原子力を利用できるようになる可能性はまったくない」ロバート・ミリカン(ノーベル賞物理学賞)、1902年

ベーブルースが、投手から打者に転向したのは、大間違いだった」トリス・スピーカー(野球殿堂入りした大打者)、1921年

「俳優の声を聞きたいと思う人など、いるわけがない」ハリーワーナーワーナーブラザーズ社長)、1943年

「世界でコンピュータの需要は5台ぐらいだと思う」トーマスJワトソン(IBM会長)、1943年

「アメリカは1970年までに人類を月に着陸させるというケネディ大統領の目標を実現できないだろう」ニュー・サイエンティスト誌、1964年4月30日

「個人が家庭にコンピュータを持つ理由など見あたらない」ケン・オルセン(ディジタル・イクイップメント社長)、1977年(106ページ)

パラダイムの力

こうした予言をした人たちが、愚かでもなく、ミスリードするつもりもなかったことに注意する必要がある。だれも、例外なしに、その分野の専門家だった。しかし、パラダイム効果がわかれば、自分のパラダイムから外れたものを見過ごしただけだったことがわかる。・・・パラダイムの力があまりに強いため、わたしたちは世界を一方向からしか見るkとおができない。そして、専門家がとんでもない過ちをおかすのは、この罠にはまりやすいからだ。(108ページ)

良いパラダイム、良くないパラダイム経営コンサルタント内田 和成 氏の序文より

 

パラダイムには「善玉パラダイム」と「悪玉パラダイム」があると理解した。本来パラダイムというのは仕事二役に立つ善玉である。・・・ところが、善玉パラダイムがある時、新しい時代への適応を邪魔する「悪玉へと変わってしまうことがある。それは、パラダイム・シフトが起こった時だ。(2ページ)

現在のパラダイムのなかでどう会社をよくしていくかという「戦術」を考えなくてはいけない。その一方で、5年後、10年後の次のパラダイムがどうなるか、どうしていくかという「戦略」も考える必要がある。(4ページ)

パラダイム

我々はパラダイムを使って物事を効率的に進めている。しかし、新しい時代が突然やってきた時、それは障害になる。本書のなかで日本製品がチープなまがいもの、から高品質な先端商品に代わったことを説明している。パラダイム・シフトが起きたのだから、日本製品がもはや高品質でも先端商品でもないというパラダイム・シフトもまた起きる可能性があることになる。

日本製品は最先端であるかどうかが問題ではなく、そういう可能性があるとすれば、どうやって行動しておくか,が重要なのだと気付かされる。原著は1992年、日本の製造業が競争力を持っていた時代に書かれている。

蛇足

 

パラダイムに囚われるのが専門家、破るのが新参者

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