毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ストーリーテラーとしてのイエス、そしてキリスト教~架神恭介著 「仁義なきキリスト教史」より

仁義なきキリスト教史

「おやっさん、おやっさん、なんでワシを見捨てたんじゃ~!」キリスト教2000年の歴史が、いま果てなきやくざ抗争史として蘇る!「あいつら、言うてみりゃ人の罪でメシ食うとるんで」エンタメで学べる画期的キリスト教史入門! 2014年刊

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おやっさん=ヤハウェイ大親分

 

 ユダヤ地方一帯を支配するユダヤ組の組長である、子分がその姿を見ただけで恐怖で震え上がり絶命したとさえ言われる程の迫力をもった大俠客であり、性格はまさに豪快酷烈。(10ページ)

 

 

民衆の間ではヤハウェイ大親分に対する畏れが肥大化していた、自分たちの一挙手一投足が大親分の怒りに触れるのではないかと人々は戦々恐々としていたし、身に不幸が訪れでもしたら大親分からの制裁ではないかと疑ってしまう(14ページ)。

 

 

イエスが病人を見舞う

 

 「お義母、わしのことしっちょりますかのう。わしとおやっさんのこととか、、、。」老婆は黙ったまま、こくこくと頷く、ここでイエスが示唆しているのは、自分がヤハウェイ大親分から直盃を受けた子分だという、巷に流布しているあの噂だろう。イエスも老婆の目を見てゆっくりと頷き返した。「わしからのう、、、、おやっさんにはよう言うときますけえ。じゃけえ、何も心配は要りゃあせん。お義母さんは、安心して、よう休んで、体ァ大事にしてつかぁさいや」(15ページ)

 

 

宗教団体を任侠団体に例える

 

著者はユダヤ教ユダヤ組、ヤハウェイを大親分と例える。任侠団体の組織の中では価値観はどれだけ大親分に近いかという事。キリストは広島弁をしゃべる大親分直系の親分として例える。

イエスはヤハウェイのお墨付きをもって病治しをしていた

 

人々は現実世界の苦悩とユダヤ教の教義の狭間で苦しんでいた。苦しみの原因はヤハウェイ大親分の怒りであると。そしてイエスはヤハウェイ大親分の直系の親分として赦しを与える。実際心理的ストレスから解放され健康を取り戻す病人もおったのだろう。これがまた親分の神格を高める事になる。イエスが磔になるのは親分同士の抗争に破れた結果であり、本書冒頭のセリフ「おやっさん、おやっさん、なんでワシを見捨てたんじゃ~!」(8ページ)につながる。

イエスは主ヤハウェイを語るストーリーテラー

 

イエスを一言で言えば、ストーリーテラーであった。リアリティを持ってストーリーを語る時、預言者と言われ、いつしか神と言われる。イエスが主ヤハウェイのストーリーを語り、イエスのストーリーをキリスト教が語る事になる。

蛇足

 

ストーリーは他人によって拡散される。

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