毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

たまには、世の中には分からない事もある、という「悟り」~書評「完全教祖マニュアル」

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

キリスト教イスラム、仏教などの大手伝統宗教から、現代日本の新興宗教まで、古今東西の宗教を徹底的に分析。2009年発刊。

 

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教祖とは何か?

教祖の成立要件は以下の二要素です。つまり、「何か言う人」「それを信じる人」。・・・この時、「何か言う人」が教祖となり、「それを信じる人」が信者となる訳です。・・・競争は人をハッピーにするお仕事なのです。(13ページ)

仏教の部分を列挙

仏教は神を作りませんでした。特に必要なかったからです。それでも釈迦の発明した「釈迦式修行法」により、人をハッピーにできたので問題もなかったのです。(29ページ)

社会的な視点から見れば、仏教なんて本当にろくでもない宗教です。出家は社会との関係を断絶して閉じこもるわけですから、まったく生産性がありません。その上、家族すら捨てるのだからニート以下と言っても良いでしょう。(37ページ)

元々仏教というのは、論理的思考や修行により、怒りやら欲望やら執念やらをスッキリ取り去って人格的に完璧(仏)になり、輪廻転生の輪から外れましょう、という教えでした。(49ページ)

オレッて、何不自由ない王子様だと思っていたけど、老いとか死とか全然免れないじゃん!オレッて、スッゲー困っているじゃん!」と彼が気づいたのがそもそもの仏教のスタートなのです。(78ページ)

悟りは物理的にどうこうという類のものではないようです。・・・乱暴に言えば脳みその錯覚現象です。・・・この錯覚を意図的に発生させる方法や思考法を確立できれば、あなたは自分でも悟れるし、人を悟らせることもできるんではないでしょうか?なお、この方法を2500年前に確立したインド人がいます。ゴーダマ・シッダールタ、すなわち釈迦です。仏教は釈迦の完成した「完全悟りマニュアル」だと考えても良いでしょう。(130ページ)

再び教祖とは何か?

釈迦が「錯覚を起こす方法」を発明したのだとしても、彼はただの発明家というわけではありません。それによって人をハッピーにしたのです。・・・「悟り」という現象をどれほど素晴らしいものにできるかは、教祖であるあなたの双肩にかかっているのです。(131ページ)

我々は「悟り」を得られる

人は何かを言うか、人は誰かの行った事を信じるか、そしてそれにより「悟り」が得られる。では「何か」とは何か?生であり、死などの不安であり不満である。仏教だけでなく、キリスト教イスラム教など世界的な伝統宗教を突き詰めるとこの構造が見えてくる。我々はこれらをすべて分かって上で世の中の解明できない事、不合理な事、不思議な事、などに「対峙していく事も」できる。本書は世界宗教の成り立ち、教義、勧誘などを比較する事で、構造を明らかにしている。

蛇足

何が不満か?