毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

宇宙気候学という視点を受容できるか?~銀河は星々で満ちあふれている、というイメージ

“不機嫌な”太陽―気候変動のもうひとつのシナリオ

スベンスマルクは太陽地球物理の研究家。「太陽と宇宙が操る地球寒冷化のシナリオ。世界で喫緊の問題として取り上げられている気候変動の未来予想に一石を投じる。」

宇宙気候学

地球の気候変動に対する宇宙現象の影響を研究対象とした学問分野。用語は2007年にスベンスマルクによって考案された。(Wiki) スベンスマルク1995年「太陽に許されて太陽系内に入った宇宙線の量が、地球の雲量を加減するのではないか」(62ページ)、これが宇宙気候学の原点。

 

f:id:kocho-3:20140509070004p:plain宇宙気候学 - Wikipedia

宇宙線と気候を結ぶメカニズム、そして太陽~スベンスマルクの視点から整理

宇宙線超新星の爆発によってまき散らされる

②太陽系の地球に届く宇宙線は太陽活動が活発化すると、邪魔され宇宙線の量は減る③宇宙線が増える→雲が増加する→地球は寒冷化する

  

宇宙線の地球への到達量に関係するのが太陽の活動

 200年前よりウィリアムハーシェル黒点の少ない時には小麦の価格が高い、という事に気づいて以来、検討されてきた。太陽光の強度変化と気候変化の間には直接的な関係は見いだせなかった。スベンスマルクは太陽の活動は光を通じてではなく、宇宙線の量に影響を与えている、と考えた。宇宙線の増加は地球の雲の増加につながるというメカニズムの仮説をおいたのである。

  

宇宙線の発生量は銀河系での太陽の位置が関係

イスラエルの天体物理学者ニール・シャヴィヴはスベンスマルクの仮説を使って、宇宙線の発生量の増加と銀河系の動きを結びつけた。シャウィヴは、鉄隕石中の放射性元素に関するデータを解析する事により宇宙線増減のリズムを見いだした。年齢は10億年の範囲に広がる50個の鉄隕石の放射性元素量から、太陽系が繰り返し、銀河の渦状腕の中を通過することにより、宇宙線強度量が増減する周期は1億4,300万年±1,000万年であると推定することができた。(121ページから再構成)

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本書口絵より、白い部分が銀河系の4本の腕、恒星の密度が高い。

(次に太陽系が腕に突入するのは、5000万年~1億年後、その時は"全地球凍結")

 

宇宙気候学からの結論

 過去5億年の間の地球の温度変化と、太陽系が銀河内の周期中に4本の腕(=星間ガスの多い地域)と遭遇した時期は一致する。

 

今考えるべきは、各人がシャウィヴの、そしてスベンスマルクの仮説を認識し、受容する事ができるかという事。宇宙気候学というアプローチで思考できるか?

 

(私には不思議な事だが)でこれを仮説に過ぎないと受容しない意見もある。

蛇足

 銀河系は星々で溢れ、常に誕生と爆発を繰り返し変化している。