毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

E=mc^2とピタゴラスの定理

 世界は2乗でできている 自然にひそむ平方数の不思議 (ブルーバックス)

小島氏は数学エッセイスト。本書のはじめに「アインシュタイン相対性理論が、直角三角形に関するピタゴラスの定理を「時間まで取り込んだ宇宙版」に拡張したものにすぎないと理解する」と記されている。

物体に両側から質量ゼロの光子が来て同時に吸収

①Aさん=静止系と②Dさん=等速直線運動の場合を比較して説明する。①の静止系では両方の光子が打ち消しあって質量の増加は0となる。一方速度νで等速直線運動をしている場合には質量ゼロの光子によって与えられたエネルギーの増加が質量の増加を生じさせる。(224ページから構成)

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E=mc^2の意味

質量mの物体は、それが存在するだけで、質量に光速cの2乗を掛けたエネルギーを持っている、ということを意味する式である。つまり、質量はエネルギーに転換できるし、逆に、エネルギーは質量に転換できる。アインシュタインはこの式を、純粋に理論的な考察から導き出したのだが、後に核分裂で発生するエネルギーの計測などから実証されることになった。核分裂する際、物質の質量が小さくなり、分裂した原子核などの運動エネルギーに変換されるのだが、その関係がまさにこの公式通りになるのだ。

小島氏のブログより

http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/201308

ポイントは、「物体に両側から光子が来て同時に吸収される」というモデルで、それを静止系と等速直線運動系で観測するだけのことなのだが、どうしてこの簡単なモデルからE=mc2が出てくるのかは、相対論の二つの原理「相対性の原理」「光速度不変の原理」を十分に理解しないと納得できないと思う。とりわけ、ガリレオ的な運動認識を捨てないとならないが、常識に邪魔されてそれがなかなかできないのだ。

蛇足

光子は質量を持たないがエネルギーを持つ。