毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

~『ニュートリノでわかる宇宙・素粒子の謎』鈴木厚人氏(2013)

ニュートリノでわかる宇宙・素粒子の謎 (集英社新書)

鈴木氏はニュートリノ観測に従事、ニュートリノは他の物質と反応しにくいからこそ物質や宇宙の奥底からさまざまな情報を私たちの届けてくれる「(2013)

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ニュートリノの切っ掛け、ベータ崩壊

ベータ崩壊は、ある元素の原子核が崩壊して、別の種類の原子核と電子(β線)になる現象です。崩壊後にできる原子核は元の原子核よりも質量が軽くなりますが、保存則が成り立つためには、そこで失われた質量とβ線のエネルギー量が一致しなければなりません。(22ページ)

1930年パウリはニュートローネンと名付ける

(パウリは)ベータ崩壊によって電子以外にも未知の粒子が飛び出し、エネルギーを持ちさっていると考えました。それを加えれば、エネルギーの総和は崩壊前と同じになる。すなわち、エネルギー保存則は破れていないことになります。・・・未知の粒子はプラスの電荷もマイナスの電荷も持たない中性(ニュートラル)でなければなりません。そのためパウリは未知の粒子を「ニュートローネン」と名付けました。(26ページ)

量子物理学の進歩~1932年チャドウィックが中性子を発見

原子核は陽子だけでなく、それと同程度の質量を持つ中性の粒子も含んでいることがわかったのです。(27ページ)

1934年フェルミニュートリノ理論

ベータ崩壊によって)中性子が陽子に「変化」するとは、どういうことでしょう。まず中性子は陽子よりもわずかに質量が大きいので、減った分は「E=mc^2」の式にしたがってエネルギーに変換されます。中性子はその名のとおり電荷がゼロですから、そのままではプラスの電荷を持つ陽子になれません。そこで中性子からは、電子が一つ飛び出します。・・・それと同時に、中性子からはニュートリノが放出されるとフェルミは考えました。崩壊後の陽子の質量に、電子とニュートリノが持ち去るエネルギーを加えれば、崩壊前の中性子と同じ質量(エネルギー)になる。そう考えれば、エネルギー保存則は破られることなく維持されるというわけです。(31ページ)

ニュートリノは物質を透過する

ニュートリノは電気的に中性なので、ほかの物質とのあいだでそのよう(衝突する)な反応がほとんど起こりません。そのためスカスカな原子の中を通り過ぎてしまうのです。(45ページ)

ニュートリノは質量を持つ

ニュートリノが(発生してから)飛行中に別の種類に「変身する」現象です。・・・ただしこの現象が起きるためには、ある重要な条件がありました。ニュートリノに「質量」がなければ、(変身を説明できる)ニュートリノ振動は起こらないのです。(101ページ)

ベータ崩壊超新星で起きる重力崩壊

中性子が崩壊して陽子になり、同時に電子とニュートリノが出てくる反応です。重力崩壊はこの逆課程です。つまり、陽子と電子が結合して、中性子になり、そしてニュートリノが出る。重力崩壊の開始のメッセージがニュートリノに託されているのです。(78ページ)

ニュートリノとは何か?

 

陽子=中性子+原子+ニュートリノの関係にある。この関係式がどちらかの方法に進めば、具体的には核分裂あるいは核融合によってニュートリノが生じる。原子力発電所の中でも、太陽の中でも、そして超新星爆発でも、生じている。

電気的に中性であることから電気を帯びた原子核と電子のいずれとも反応しにくい。そして質量を持つことから他の粒子に変化され易い。

我々はニュートリノを観測することができれば、宇宙で何が起きたかを知ることができる。ニュートリノの概念ができて、小柴先生によってニュートリノ初観測されるまで約50年かかった。人類は宇宙の情報を手に入れる方法をまた一つ手にいれている。

蛇足

 

ニュートリノを日本語にすると中性微子

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