毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

生物

人類70億人を分子生物学の知見から定義してみる~この気付きが日常を愉しくする。

人類20万年 遙かなる旅路 著者、アリス・ロバーツは英国ブリストル大学の解剖学者、古人類学の研究家。本書は英BBCとの企画がベースとなっている。「 時代をさかのぼればヒト属には多様な種が存在していた。しかし、3万年前までには、現生人類とネアンデルタ…

生命の誕生の謎、これに匹敵する生物の大型化、複雑化の謎、~ミトコンドリアによるエネルギー革命

ミトコンドリア(WIKI) 真核生物の細胞小器官である。二重の生体膜からなり、独自のDNA(ミトコンドリアDNA=mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。mtDNAはATP合成以外の生命現象にも関与する。酸素呼吸の場として知られている。 ミトコンドリアが進化を決めたニッ…

どうして進化論は激しい意見の対立を巻き起こすのか?

ドーキンス VS グールド (ちくま学芸文庫) 著者はオーストラリアの生物学の哲学(!)の研究家。「自然淘汰と遺伝子の働きを重視し、利己的遺伝子説を唱えたリチャード・ドーキンス博士と、断続平衡説を提唱した古生物学者スティーヴン・ジェイ・グールドが生物…

絶食ムシ~ダイオウゾクムシは瞑想中?

絶食ムシ、6年目突入か…年末年始に動画生中継 (読売新聞) - Yahoo!ニュース 三重県鳥羽市の鳥羽水族館で飼育され、来年1月2日で絶食期間が丸5年となる「ダイオウグソクムシ」がニコニコ動画で生中継されるとの事。 ダイオウグソクムシ 節足動物門等脚…

最幸運者生存~中立進化論の視点から

中立進化論について整理してみた。 中立進化論 分子レベルでの遺伝子の変化は大部分が自然淘汰に対して有利でも不利でもなく(中立的)、突然変異と遺伝的浮動が進化の主因であるとする説。国立遺伝学研究所の木村資生によって1960年代後半および1970年代前…

我々はいつ視覚情報を獲得したか?

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く パーカー氏は生物学者、丁寧に眼の誕生と生物進化の関係、「光スイッチ説」を着想するに至った経緯が説明される。 いつ生物の眼は誕生したか? 本書で著者は「生命最初の眼は5億43百万年前に三葉虫が備えた。」と主…

人間は自らの意志でのみ進化する。

進化とは何か? 進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))長谷川氏は行動生態学の研究者。 進化とは生物が世代を越えて時間とともに変化すること。進化の結果として生物が環境に対し適応的になる。進化の仕組みは自然淘汰によって生じ、生物の固体には…

複雑系~人の素朴な錯誤への科学的反証

若田光一船長のTwitterから 若田船長、11月17日撮影東京の夜景から、フリースケールを連想する。 歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) マーク・ブキャナン氏はサイエンス・ラ…

潜在的に人に影響を与えるメカニズム~ミラーニューロン

結論 神経科学におけるミラーニューロンの発見は、意識的なレベルでの他人の理解に対し、意識事前の神経生物学的なミラーリングのメカニズムがあることを明らかにしてしまった。 サルのミラーリング 最近の研究では、マカクザルの赤ちゃんは、人の表情の動き…

DNAのできること タンパク質合成の指令をだすこと

DNAというと遺伝子、世代を超えてゆっくり変化する静的なイメージを持ってた。種のレベル、個体レベル、で言えばその通り、一方生物を構成する細胞のレベルではまったく違う速度で機能している。 DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ (ブルーバックス) 本書はJT…

生命にとってのウィルスの意味

フレッド・ホイル氏 (Sir Fred Hoyle,1915-2001)は英国出身の天文学者、SF小説作家。元素合成の理論の発展に大きな貢献をした。現在の天文学の主流に反する数々の理論を提唱したことで知られる。(Wiki) ホイル氏のアカデミックな分野での業績 ①定…

アポトーシス プログラムされた細胞死

田沼氏は生化学、分子生物学の研究者。本書では細胞レベルでの遺伝子による消去の仕組みが説明されている。ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書) アポトーシス(自死) 再生系細胞(例:28日周期で入れ替わる人間の皮膚細胞)50-60回の細胞分…

生命とは何か? 推理小説

シュレジンガーはオーストリア出身の物理学者。 1926年シュレーディンガー方程式を発表し「系のある性質が観測されれば、結果は量子化(離散的な値だけが現れる)される事があるとしている。」とし、量子物理学の前提となる波動方程式により貢献をした人、但…

深海展 2013年夏

上野の科学博物館の特別展、深海展に行ってきた。 http://deep-sea.jp/ 目玉は大王イカ、深海で生存競争を有利にする為に一部の生物は巨大化したのだそうです。私は展示の最後の方のチムニー(熱水噴出孔)の模型とその解説ビデオが印象的でした。 ガスの通…