毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

絶食ムシ~ダイオウゾクムシは瞑想中?

絶食ムシ、6年目突入か…年末年始に動画生中継 (読売新聞) - Yahoo!ニュース

三重県鳥羽市鳥羽水族館で飼育され、来年1月2日で絶食期間が丸5年となる「ダイオウグソクムシ」がニコニコ動画で生中継されるとの事。

 

 

ダイオウグソクムシ

節足動物門等脚目のスナホリムシ科に属する海生甲殻類。メキシコ湾や、西大西洋周辺の深海200-1000mほどの深さの海底砂泥地に生息している。等脚類としては世界最大であり、体長は20-40㎝で、最大50㎝地殻にもなる巨大な種である。(WIKI) 

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面構え、大きさともに迫力満点!

鳥羽水族館で飼育されているものは全長29㎝、5年!絶食中。

 

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

本書は一度紹介した、この中でオオグソクムシを光の少ない深海生物の例として説明している。

50倍もの大きさのワラジムシともなれば、顎はいかにも獰猛そうで、歩きっぷりはあたかも機械じかけのようだった。頭部は、映画「スターウォーズ」の帝国軍兵士のヘルメットそっくりで、その長さが50センチほどもある胴体は、小型ではあるがいかつい戦車といった風だ。(167ページ)

オオグソクの生息場所は、深い所になると水深1000メートルにもおよぶ。そのような深い海の底にも、青色成分のみとはいえ、ある程度の光が届いているのだ。行動を刺激し、進化の淘汰圧ともなる光の量はぐっと減る。

化石の証拠からオオグソクムシは1億6000万年前よりも昔からいた事がわかっている。そして1億6000万年の間まったくといっていいほど進化をしてこなかったのだ。光が支配していない場所では、淘汰圧が減少する結果として突然変異もわずかしか起こらないのだ。動物が日光に適応している状態で光量が減少すると、進化にブレーキがかかって多様性のスピードがダウンする。利用可能なニッチが劇的に減少するからだ。(172-174から再構成)

1億6000万年前から瞑想中?

深海の中で5年間絶食中、個体としても代謝スピードを極端に落としているのであろう。また種としても1億6000万年間ほどんど進化してこなかった。大きさといい、スターウォーズの戦車の風貌といい、そして5年間の絶食といい、驚く事ばかり。

蛇足

きっと個体としての寿命も長いのであろう。