毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

宝くじの当選確率に影響を与えられるか?

宝くじの期待値

年末恒例の宝くじのシーズンとなった。

年末ジャンボ1等の当選確率は10000万分の1、期待値は50円、全体の収益分配率は約46%だそうである。

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世界を変えた手紙――パスカル、フェルマーと〈確率〉の誕生

本書はパスカルとフェルマーが1654年にやりとりをした往復書簡を軸に確率に関する歴史を説明する。

パスカルとフェルマーが未完のゲームの問題を解く前には考えることもできなかったのは、我々には明日起こることについての判断を定量化し、正確な数値で計算できるかもしれない、ということだった。これがパスカルとフェルマーの往復書簡の遺産である。我々には、明日に何が「起こるか」のかは知り得ない。しかし、何が「起りそうか」定量化することができ、それに応じて行動することができる。(163ページ)

著者はパスカル、フェルマー、ホイヘンズ、ベルヌーイ一族、モアブルによって確率、期待値、効用、正規分布の概念が導入された経緯を説明する。いずれも我々にとっては良く知った概念である。

未完のゲームの問題

2名でコイン投げを繰り返して先に3勝した方が賞金を総取りをする、というゲームをする。問題は、このゲームを中止しなかればならなくなったとき賞金をどう分配するか、というパズルである。

私は既に2勝、相手が1勝してした場合に、私と相手で賞金をどうやっってわけるか、私の取り分は3/4,相手は1/4と分ける のが確率的に正しい。

シミュレーション

先程の未完のゲームでコイン投げの場合、表+裏、表+表、裏+表、裏+裏の4種類の可能性が等しく発生する。しかし一見すると表で一勝するとゲーム終了となるので表、裏+表、裏+裏の場合訳しかないことに伴う錯誤の可能性がある。(それぞれ1/3づつの可能性で1:2に賞金を分けるのが正しく見える。)これを正解する為には「ゲームが中断しかなったとしてプレーヤーが最後まで行った場合をシミュレーション」することが必要である。

「未来」という認識のフレームワーク

未来は予測できないが、未来の可能性を数量化できる、我々は聞かれれば当たり前の事。それを当時の数学者が真剣に議論していた。今も「未来とは何か?」と考える時自由な思考を停止させかねない、「未来」という言葉に含まれる認識のフレームワークがある事を認識する必要があろう。

蛇足

宝くじの結果に影響を与えられない、とすればジンクスは迷信。少しでも影響を与えられるのならジンクスは未来に対する影響力の行使。