これから100年、電気と同様AIも目に見えない存在となる~『〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリー氏(2016)
ケリー氏はテクノロジーに関連する著作活動を精力的に行う、 AI(人工知能)は電気のように日常を流れ、VR(ヴァーチャルリアリティ)は現在のスマートフォンのような存在となる。(2016)
結果よりプロセスの方が大事
過去200年で最大の発明は、個別のガジェットや道具ではなく、科学的なプロセスそのものだ。ひとたべ科学的な方法論が発明されれば、それなしでは不可能だった何千ものすばらしいものをすぐに創れるようになる。・・・われわれの新しい時代には、プロセスが製品(プロダクト)を凌駕するのだ。
名詞から動詞へ
プロセスへと向かうこうした変化によって、われわれが作るすべてのものは、絶え間ない変化を運命づけられる。固定した名詞の世界から、流動的な動詞の世界に移動していく。今後30年で形ある自動車や靴といった物は、手に触れることのできない動詞へと変化していくことになるだろう。プロダクトはサービスやプロセスになっていくだろう。
自動車からパーソナルオンディマンド運輸サービスへ
テクノロジーを高度に取り組んだ自動車は交通サービスに変わり、その素材を常に最新のものにアップデートすることで、ユーザーの使い方にすぐに対応し、フィードバックし、競合しながらイノベーションを起こして使い込まれていく。(12ページ)
かつては鉄製や皮革製だった固形のプロダクトが、いまやアップデートされ続けるサービスの流れとして販売されている。あなたが家に停めてある固体の車は、ウーバー、リフト、ジップ、サイドカー、といったサービスのおかげで、個人向けオンディマンド運輸サービスへと姿を変えている。(85ページ)
これからの100年で起きること
3世代ほど前には、手先の器用な人たちが、あらゆる道具の電動版を作ることで大金を手にしていった。手押しポンプ?電気を流そう。手絞り洗濯機?電動にすればいい。こうした起業家たちは、電気を起こす必要はなかったー送電線経由で電気を買って、いままで手動だったものを自動化しただけだ。現在は、これまで電動化されたものをcognifyする段階だ。IQをいくらか加えることで、ほとんどあらゆるものが新しく、いままでと違った、より興味深いものになるだろう。実際に、これから起業する1万社の事業計画を予想するのは簡単だ。それはただ、XにAI機能を付けるというものだ。オンラインの知能を加えることで良くなるものを、ただ探せばいいのだ。(47ページ)
Cognifyingとは
ケリー氏はAIは「アマゾンのウェブサービスのようなもので、安価で信頼性が高く、あらゆるだーびすの裏に隠れている実用的でスマートなデジタル機能であり、茶道している間はほとんど気づかれることもない」(47ページ)という。
AIにコンセントにつなげば使える電気のような存在になるとすれば、過去100年間が物の電動化の歴史だとすればX+AI化の歴史になるのである。
ケリー氏はこのX+AI化することをCognifyingと造語を作った。元のCognifyは認知する、といった意味だが、造語としての意味は“断続的に改良されていくAIの力を利用すること”だと理解した。今までの物Xという名詞が物の拘束を離れ“X+AI化”で動詞になっていく。そしてそれは終わりのない変化の流れになる。
インターネットの次に来るものを一言でいうのは難しい。著者の一種哲学的な表現を引用すれば「全人類の集合的知能と全マシンの集合的行動が結びついた」世界(385ページ)となる。インターネットは全人類の集合的知能の成立の条件だった。今後は全マシン=人間、ハードウエア、ソフトウェアなどすべてのものが包含される人間の活動そのものが結合していく時代と説明する。
我々は電動化の100年からAI化の100年に立ち会っている。
蛇足
未来は動詞が主であり、名詞目的語は不要か価値が低下する
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