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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

テクノロジーとは個人の可能性を広げる技~『テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?』K・ケリー

テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?

 ケリー氏は雑誌Wiredの編集長、人類は石器からコンピューターに至るまで、さまざまなテクノロジーを生み出してきた。 これらに通底する普遍的な法則、そしてテクノロジーの本質とは、いったい何なのだろう か?(2014)

 

テクニウム

より大きくグローバルで大規模に相互に結ばれているテクノロジーのシステムを指すものとして「テクニウム」という言葉を作った。テクニウムはただのピカピカのハードウェアの範疇を超え、ありとあらゆるソフトウェアや法律、哲学的概念なども含む。そして最も重要なことは、我々が発明をし、より多くの道具を生み出し、それがもっと多くのテクノロジーの発明や自己を増強する結びつきを生み出すという、生成的な衝動を含んでるということだ。(18ページ)

テクニウムと生命の構造は1点を除いて一緒

テクニウムが実際に生物の進化を拡張し加速するものなら、それ(テクニウム)も同じ力によって支配されるはずだ。・・・(生物進化とテクニウムの違う点は)生物学においては、これ(適応の機能)は信じられないような無意識の力としての、盲目的な自然選択だ。しかしテクニウムにおいては、適応の機能は自然のそれと違って無意識なものではない。それは人間の自由意志と選択に開かれている。必然的な発明に対する政治的な判断や、個人がある発明を(いかに)使う・使わないという何十億もの判断からなる。生物の進化ではそれをデザインする人はいないが、テクニウムでは知的なサピエンスというデザイナーがいる。そしてこの意識的で開かれたデザインこそが、テクニウムがこの世界で最も強力なものになった理由だ。(209ページ)

テクニウムは選択を広げる

実現されたアイデア(テクノロジー)はすべて、われわれが自分の生活を構築するために空間を拡張する。車輪の発明一つで、それを使った100のアイデアが解き放たれた。二輪車、ろくろ、地蔵車、ギアができた。そこからまた、何百万もの創造的な人々が刺激を受け、もっと多くのアイデアを出した。・・・・テクニウムは個人がよる多くのアイデアを生み出して参加していくことのできる、材料、知恵、経験、伝統、選択肢などを蓄積したものだ。(401ページ)

宇宙もまた拡張してきた

宇宙が未分化な点から、われわれが現在、物質とか現実とか呼んでいる微妙な差異に着実に展開していった。何十億年もかけて、宇宙の過程が元素を創造し、元素が分子を誕生させ、分子が集まって銀河系ができ、それぞれが可能性の王国を広げた。(401ページ)

テクノロジーはどこに向かうか

テクノロジーが良い面と悪い面の双方を持つことは当然である。しかし全体としてみればテクノロジーは常に良い面が悪い面を上回ってきた。だからこそ世界はより豊かになってきた。一方ですべてのテクノロジーを使用することは必要なく、必要なテクノロジーと選択しないテクノロジーを区別すれば良い。しかし自分が選択しないからといって使いたいと考える他者の選択を否定する必要はない。著者はそもそも宇宙の中で物質、生命、そしてテクノロジーともに、様々な選択を拡大していく同じ方向に向かっていると考える。例として、ゴッホの時代に絵の具が存在しなければ、ゴッホはその才能を表現することができなかったという。テクノロジーが向かうのは人の能力を拡大する方向であり、それは生命が目指す方向でもあるのである。

蛇足

テクノロジーという言葉はドイツの経済学者が1802年産業革命を説明する言葉として生まれた。

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