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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

クラシック音楽のクラシックの定義とは何か?~『138億年の音楽史』浦久俊彦氏(2016)

映画・芸術 歴史

138億年の音楽史 (講談社現代新書)

浦久氏は作家、文化芸術プロデューサー、「われわれは、どんな過去にさかのぼっても音楽に出会う」。(2016)

 

 

クラシック音楽とは

クラシック音楽のひとつの定義は、芸術となった音楽である。芸術であろうとした音楽といってもいい。・・・(ハイドンモーツアルトベートーヴェンの)三人の音楽家のうち、芸術としての音楽を意識したのは、おそらくベートーヴェンだけだ。ハイドンは、宮廷楽士としての職務を全うした、いわば公務員であり、モーツアルトも卓説した音楽家としての自負はあっても、芸術家としての自覚はなかったはずだ。(232ページ)

クラシック音楽はいつ誕生したか?

クラシック音楽が誕生したのは、19世紀から20世紀にかけて。・・・クラシック音楽が誕生したとき、モーツアルトベートーヴェンも、すでにこの世にはいなかった。クラシックとはそれまで同時代のものであった楽譜や録音というメディアの普及により過去の遺産となっていく過程で熟成され、成立した概念である。(233ページ)

「(クラシックの後に生れたトレンドである)ロマン主義がある段階まできて、それ以前の時代(古典派の時代)に対する憧れが生じて、これに別の名を与えることが必要になったのが、古典主義である」(235ページ)

ハイドンモーツアルトベートーヴェンの生きた時代

(18世紀後半から19世紀のはじめにかけての時期は)ヨーロッパの激震が走った時代でもある。フランス革命をきっかけに、旧体制が崩壊し、新体制が誕生する、まさに激動の時代のものだ。

ベートーヴェン登場

ベートーヴェンの出現によって音楽が「芸術」となり、芸術家が己の創作活動を「作品」としてコントロールできるようになる・・・(239ページ)

ベートーヴェンが暮らしたウィーンでは、1815年以降、驚異的なインフレとナポレオン戦争後の不況によって、オペラやオーケストラなどの大規模な演奏会を開催するためには、(それまでの国王・貴族に代わって)鑑賞のための金銭を支払ってくれる観客の支持が必要になってくる。そのための先陣をきったのが、ベートーヴェンの自主公演システムであり、彼が生涯をかけて、ときには作曲以上のエネルギーをつぎ込んだ楽譜ビジネスであった。(240ページ)

138億年の音楽史

現在音楽といてば西洋音楽であり、クラシック音楽が一番に連想される。クラシック音楽は18後半から19世紀初めにかけての時代に生れたがクラシック音楽という定義が生まれたのは19世紀から20世紀にかけてであり100年のタイムラグがある。クラシック音楽は「特権階級の存在しない大衆社会における特権的な知的エリートの象徴」(244ページ)としての機能を担うことになる。

著者はクラシック音楽はあくまで西洋という地域の、一時代を代表した音楽であり、クラシック=古典的というような普遍性のある概念ではないという。クラシック音楽は近代社会になって定義されたものである。ちなみにポップス音楽(Pops)はポピュラー(popular=大衆的)に由来する。

蛇足

古典的という表現は普遍性を持たない

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