幾何という字を何と読みますか、そしてその意味がわかりますか?~geometoryという概念と結合
幾何(いくばく)とは
「いくばく」は辞書では【幾何/幾許】1 数量・程度の不明・不定なことをいう語。どれほど。「―の利益を得たか」2 (「いくばくか」の形で)ある程度。若干。「旅費はまだ―か残っている」
幾何(いくばく)から幾何(きか)になった
Geometoryの音写と中国の算術用語幾何(いくばく)が結合したと言われている。AC500年、中国の算術書「「孫氏算経」(上巻)には「九九八十一、自相乗得幾何(自ら相乗じて、幾ばくを得るや)、答曰(答えて曰く)、六千五百六十一」の記述がある。これは9×9、幾らになるでしょうか?の意味。本来のgeometoryの語源は土地測量術の事であり幾何はその意味を表現してはいない。
図形としてのユークリッド幾何(きか)学
①点や線などの基礎的な概念に対する定義を与える②一連の公理を述べ、公理系を確立する③500あまりの定理を証明する、という現代の数学と同等の証明を行う。ユークリッドによってBC3世紀に編纂された。ユークリッド幾何学は、直感的に納得できる空間の在り方に基づく図形に関する理論体系である。例えば直線はどこまでも伸ばせるはずと前提をおく。
フィールズ賞受賞数学者による市民のための幾何入門。平面幾何は定木とコンパスを使って描いた図形の現象を研究する自然科学、つまり「図形の科学」である。2000年刊行。
3ページ:幾何は手を動かす事によって始まる
現代はユークリッド幾何学が追放された時代
「ユークリッドは出て行け」という合い言葉のもとに初等幾学の数学教育からの排除が主張された。初等幾何学への数学の現代化運動の批判は、初等・中等教育における初等幾何学への公理体系が不完全であり、従って論理の訓練として不完全であるという主張であった。(上野健康爾氏解説211ページ)
公理体系の不備~視覚的直感への依存
「平行した2本の直線は交わらない、」というユークリッドの公理は、平明のみで有効であり球面では交わり、凹曲面では交わる。これからわかる事は図式化した直感に依存をしているのであり厳密な証明がなされていない、という批判された。
1 平面 2 球面 3凹な局面
円の定義の変遷に見る抽象化
ユークリッド幾何:円はその上の中心から境界上のいずれの点に至る距離も皆等しい平面の部分であり、境界を円周という。
現代の数学:円周とは平面上の1点からある一定の距離にある点の集合である。
小川氏はこの変遷をユークリッド幾何が「図形の定義が物理的な物体に基づいている」(4ページ)、から現代数学の「図を用いずに抽象的かつ厳密に表現」(183ページより再構成)、と解説する。そして小川氏は図を使った直感による理解が正しいのであれば批判されるべきではないという立場をとる。私も図によって簡単に理解できるなら何も回り道する必要ないという当たり前の事を思う。人間の本能として空間把握に長けている、その利点を使わない手は無い。
今まで幾何がどうして図形を指すのか、分からなかった。今更ながら幾何が意味を直接表現していない事に気づく。Geometoryという概念は今後もあり続ける、幾何という漢字を使い続けるのであろうか?
蛇足
幾何を何と言い換えればいいか、考えてみる。