毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

宇宙で生まれた鉄を我々はどうやって利用しているか?

図解入門 よくわかる最新「鉄」の基本と仕組み―性質、技術、歴史、文化の基礎知識 (How‐nual Visual Guide Book)

田中氏は新日本製鉄に勤務、金属に関する著作を続ける。田中氏は本書で鉄について図解する。取り上げる範囲は製法から歴史まで幅広く、図解が多く理解を助ける。田中氏の鉄にかける興味がひしひしと感じられる本。

田中和明氏のweb  KAZTECLAB

 

鉄のトリビア

地球に占める鉄の化学組成:化学組成では全体の1/3,重たい為地球の中心に鉄・ニッケル合金として存在

地殻に占める鉄の化学組成:酸素、ケイ素、アルミニウムについで第4位、約5%

鉄鋼の物理的強度:現在の鉄鋼製品は理想強度の5%しか使えていない

中心核の鉄が地磁気を生み出している。

日本で使われる金属の95.8%は鉄鋼

鉄鋼とは炭素を0.02-2.14%含有する合金で一般的には0.8%以下で使用

純鉄の融点は1.536度だが炭素が含有する鋼は融点は下がる

鉄は水素と窒素から工業アンモニアを生成する触媒

2013年の鉄の生産量は16億トン、中国が48%、日本は1億トンで6.25%

世界の見かけ鉄鋼消費量は200kg/人、日本は600kg/人

現代の鉄鋼生産プロセス

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左図 本書111ページ                                          右図:Wiki

近代製鉄のプロセスは以下の技術的ジャンプアップがあった。

①15-16世紀    木炭高炉の誕生

 ドイツで発明された高炉は森林資源の豊富なスウェーデン、ロシアに展開

②18世紀中頃   英でコークスを燃料とする高炉の誕生

 コークス(石炭を蒸焼にしたもの)により森林資源への依存がなくなる。

③19世紀中頃  ベッセマー転炉

 脱炭素の工程が転炉により大量生産が可能となる。

 

ディテールの情報が冷静な判断を生む

鉄は地球の成り立ちと人類の歴史に深く結びついている。現在の製鉄のディテールを知る事が過去と未来を想像する為に必要な知識となる。

蛇足

地球の1/3は鉄、鉄は宇宙で核融合超新星爆発に由来。