毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

我々は多くの宗教現象に囲まれている~『人はなぜ、宗教にハマるのか?』苫米地 英人氏(2015)

人はなぜ、宗教にハマるのか?

 

現代世界の抱える矛盾と闇は、「宗教現象」抜きでは説明できない。(2015)

 

宗教現象とは何か?

宗教学のいう宗教を離れ、宗教現象という見方をすると、それが人間の脳に組み込まれている現象である、という結論にたどり着かざるを得ません。なぜなら、人間の脳は、幻視、幻聴、幻覚をよく起こします。…歴史的に宗教現象を俯瞰すると、脳が自らのカラクリをつうじて「完全な存在」だと信じ込む対象は、そのすべて」が宗教現象である、ということができます。

それは、世界4大宗教にかぎりません。釈迦が唱えた無神論も宗教ですし、スピリチュアリズムや毎朝テレビで流される血液占いは星座占いも宗教活動といわなくてはなりません。「それを信じれば、いいことがありますよ」と人々の脳に働きかけ、なんら科学的に根拠のないことを唯一の価値であるかのように受け入れさせてしまうものは、すべて宗教だということです。(74ページ)

資本主義もマルクス主義も宗教現象

資本主義とはお金という完全情報に対して憧れを抱き、そこに不変の価値を見出す脳内現象だからです。・・・マルクス主義は、資本主義に対抗するための宗教現象です。それは、労働こそ唯一絶対の価値であると信仰する宗教現象だといわなくてはなりません。(76ページ)

神の存在と他人の価値観

神の存在や、他人が勧める価値に依存することは、心の安定をもたらしやすい行為です。他人の言葉に従う行為は、その人々からすぐに支持されるでしょう。…対して、自分だけの価値を見つけることは簡単ではないし、見つけたところで他人が支持したり評価したりするとは限りません。むしろ、評価されないことのほうが多いでしょう。…本書で、私が神の問題を論じたのも、読者の皆さんにそのことに気づいて頂きたかったからです。(281ページ)

神ですら相対化した21世紀

現代においては全知全能の神の存在を論理的に肯定することが出来ない。それが伝えることの最大のメッセージはこの世に絶対的な価値観は存在し得ない、ということである。我々が当然と思っている概念、神、国家、資本主義、マルクス主義、すべてのものが絶対的な価値を有するものではない、ということになる。しかし我々は当然と思っている価値観を信じ込んだとき、そこに一種の宗教現象が生まれてしまう。

「神の存在が否定=完全情報の不存在が証明」された今日、「他人の価値観にすがること=宗教現象」の無意味さに気づくことができる。

蛇足

 

神はちゃんといますけど、完全ではないですよ(155ページ)

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