クリスマスの七面鳥はアメリカ原産、でも英名は”ターキー(トルコ)”の理由~『語源に隠れた世界の歴史: 世界史の重要知識もわかる! 』岩中祥史氏(2015)
語源に隠れた世界の歴史: 世界史の重要知識もわかる! (知的生きかた文庫)
岩中氏はライター、世界中の歴史を、語源という窓から覗いてみませんか?(2015)
なぜ七面鳥はターキーなのか?
七面鳥はアメリカ大陸北中部一帯の、開けた落葉樹と針葉樹の混合林に生息する鳥である。それにしても、「ターキー(turkey)」とは本来、トルコという意味だが、アメリカ大陸の一部にしか生息しないのになぜ「トルコ」なのか、不思議といえば不思議である。
七面鳥は(コロンブスによってはじめてヨーロッパに紹介されたが)その後メキシコから、1519年にスペイン王室に、1541円にはイギリスのヘンリー8世に献上されたという記録があるがメキシコからもたらされたとき、トルコ経由で持ち込まれた別の鳥と混同されたらしい。間違えられたのは、七面鳥より一足早くトルコを経由してヨーロッパに伝えられていたホロホロ鳥である、ホロホロ鳥は当時「トルコの鶏」と呼ばれていた。そうしたことで、七面鳥のほうが「ターキー(=トルコ)」になってしまったのである。
お国によって様々
フランスはいまでのコロンブス時代のままの「dinde(インドの鶏=coq d’indeを略したもの)」だし、ギリシャでは「フランスの鶏」、さらにアラブ諸国では「ギリシャの鶏」、ポルトガルでは「ペルー(peru)」、マレー半島では「オランダの鶏」と呼ばれていたというから、もう何がなんだかわからなくなる。では当のトルコはどうかというと、これがまた「ヒンディー(インドの意)」と呼ばれていたというからややこしいことこの上ない。(51ページ)
日本では七面鳥
和名の七面鳥の由来は頭部の首のところに裸出した皮膚が興奮すると赤、青、紫などに変化するため、七つの顔(面)を持つ様に見えることに由来する。(Wiki)
七面鳥は世界を回る
元々アメリカ大陸北中部由来の七面鳥は、ヨーロッパに渡り、北アフリカ原産でトルコ経由でヨーロッパに渡ったホロホロ鳥と混同される。16~17世紀にはオスマントルコ帝国はヨーロッパに対し膨張政策をとっていた。ヨーロッパにおいてturkeyという名前が強い記号性を持っていたことを伺わせる。文物の名前は文化の流れを記録している。
似ていると言えば似ている
蛇足
中国語では“土耳其”=ターキーの音写。
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