毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ニュートンは万有引力の法則によって地球をどう見ていたか?~『地図の科学 なぜ昔の人は地球が楕円だとわかった?』山岡 光治氏(2010)

 地図の科学 なぜ昔の人は地球が楕円だとわかった? 航空写真だけで地図をつくれないワケは!? (サイエンス・アイ新書)

 

山岡氏は地図作製の実務経験者、現代生活に密着する地図は、必要不可欠な存在です。でも、いつ、どこで、誰が、どうやって地図をつくっているのか知っていますか?(2010)

正確な地図を作製する為には地球の大きさが必要

 

ニュートン(1643-1727)は、自転している天体の赤道付近では遠心力の働きが最大となり、地球はその影響を受けて赤道付近が膨らんだ楕円体であると主張しました。しかし彼の主張は理論だけで、測量などによって確かめられてはいませんでした。

ある測量の間違いから判明

フランスのカッシーニ親子は、国内で行われた三角測量の結果から得られた経度1度あたりの子午線の長さを比べたところ、低緯度地方より高緯度地方のほうがやや短い結果となったのです。これではニュートンの主張に反して、地球は縦長の楕円になります。「本当はどうなのだろう?」問題に決着をつけるため、1735年、フランス国立科学学士院は、スウェーデン(北緯約66度)と当時のペルー(南緯0度)に測量隊を派遣して、そ五千の長さを測量しはじめます。スウェーデンでは、測量終了までに1年、南米ペルーでは9年もかかるという苦難の測量でしたが、経度1度あたりの子午線の長さは、低緯度地方より高緯度地方のほうが長いという結果が得られます。(122ページ)

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地球楕円体:1976年の国際天文学連合によれば、短軸つまり北極から地球の中心までの距離は 6356.755kmで、長軸つまり赤道の半径は 6378.140kmです。その差は 21.385km、扁平率にすると 1/298.26 と、非常に小さな値なので・・・地図投影法 / 地球の形

ニュートンは地球を数式を使って見ていた

 

ニュートンは地球のすべての粒子は重心に向かってひき寄せられるので,球形になると考る。正確には自転による遠心力のため,球形は赤道付近がつき出た回転楕円体になると考えた。

ニュートンは理論から地球回転楕円体を想像していた。30年程度を経て、測量によって確かめられる。実際に地球の半径を測量した結果、長短で21㎞しか違わない。ニュートン万有引力の数式を使って未だ誰も測量していない地球を認識していた。今更ながらニュートンの成し遂げたことのインパクトと人間の思考の力に驚く。

蛇足

 

地球楕円単という概念は高校の地学で学習済(のはず)

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