どうして2045年問題は30年後に設定されるのか?~『人間は「心が折れる」からこそ価値がある』苫米地 英人氏(2015)
苫米地氏は過去人工知能の研究を手掛けてきた。巷の「AI(人工知能)論議」の大ウソを喝破。高付加価値人間の「脳力」の秘密に迫る。(2015)
もっともらしい未来予言は、だいたい30年先をいう
2045問題をどのように定義をするかによって違いますが、一つのグループは、2045年頃に人間がとうてい及ばないほどに情報処理能力をコンピュータが身につける問う考えています。もうひとつのグループは、コンピュータが自意識を持つようになると考えています。コンピュータが独自の意識を持ち、意識を持ったコンピュータが人間を支配するようになるのではないか、というわけです。
この手の“未来予言”は、だいたい30年くらいが相場です。30年くらい先であれば、何がどうなっているかわかりませんし、「しかも多くのことは30年くらいで実現する」という経験則があるので、いかにも、もっともらしいことをいいやすいからです。(102ページ)
ストロングAIとウィークAI
人口知能には「ストロングAIと「ウィークAI」があります。「人間の認知は解明することができる。それを数学モデルにして関数化して計算機上で動かすことができる」というパラダイムが「ストロングAI」です。一方「ウィークAI」は、「人間の認知の解明はどうでもいい。マシンが役に立てばいい」という考え方です。わかりやすくいえば、私も含めて「ストロングAI」の研究者は、人間の脳を人工的に作ることを考えています。それに対して、「ウィークAI」の研究者は、高性能なコンピュータを作ろうとしています。…今の若い人口知能の研究者たちは、多くが「ウィークAI」の研究者たちの弟子です。専攻は、電気・電子の人が多く、工学的に高性能コンピュータを作ろうとしています。(112ページ)
本当に人口知能があったら
2045年に人間を超える能力を持った人口知能が本当にできていたとするなら、それはどの人よりも人間性の高い知能です。人間同士は戦争をしかねませんが、人工知能は「それうぁまずいんじゃないですか。私は人が死ぬようなことは嫌いですから、絶対に協力しませんよ」と文句を言ってきます。賢い知能が、人間の愚かな行為を止めてくれるkとはあっても、自意識を持って「人類を破滅させてやろう」などと考えたりしません。マシンに自意識は生まれません。…もし人口知能が暴走することがあるとすれば、それはプログラムのバグです。(142ページ)
人間は常に価値を生み出し続けられる
現在の人口知能はウィークAI、すなわち優れたコンピュータを目指すものであり、プログラムにより動いている。今後コンピュータの性能が良くなったとしても、それは人口知能と呼べるものにはならないという。
2045年に人口知能がシンギュラリティ(特異点)を迎えるというのは、30年後という設定が我々にリアリティを感じさせ、話題になっているのだと解説する。
苫米地氏は2045年にストロングAIのアプローチで人工知能を実現するには、生物学的意味での脳機能を組み込んだ人口知能が考えられるという。その時我々は何をしているか?コンピュータでもできること、人工知能でもできること、これらは機械にまかせればいい。我々は人工知能があるからこそ、やりたいことをやる自由を確保できるのだ。
蛇足
2045年あなたは何をやっていたいですか?
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