毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

東京は人口のブラックホール!?~『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減』増田 寛也氏(2014)

地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)

増田氏は官僚、岩手県知事を経験、若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続けた結果、日本は人口減少社会に突入した。 多くの地方では、すでに高齢者すら減り始め、大都市では高齢者が激増してゆく。(2014)

 

日本は東京の人口シェアが高い

日本における「極点社会」の到来は、先進諸外国と比べても際立っている。…①日本では東京圏の人口シェアが戦後大幅に上昇しているのに対し、他の先進国はそうではない,②東京の人口シェアの水準は他先進国の主要都市に比べて高い、③東京の人口シェアは現在も上昇を続けている、といったことがわかる。

日本の全人口に占める東京の割合は30%弱、パリ・ロンドンは15%前後、ニューヨークは7%

こうした状況がさらに進行した先にあるのが「極点社会」である。その点で、他の先進諸国に見られない、日本特有の課題と言える。(33ページ)

極点社会

地方が消滅し、三大都市間、特に東京圏のみが生き残る「極点社会」に持続可能性はあるのか。・・・大都市圏の強大化によって、日本全体が持続的に発展できるというのであれば、未来は明るい。しかし、人口減少が現実化するのにともない、そのような楽観的な見通しは通用しなくなってきている。若年層を供給し続けてきた地方が消滅する一方で、すでに述べたように、人口稠密地域の大都市は一貫して低成長率である。特に、東京都の出生率は2013年で、1.13と際立って低い。

人口のブラックホール

大都市圏のみが存在する「極点社会」の延長線上には、日本全体の人口減少がさらに加速化していく事態が想定される。まるで宇宙空間で多くの星がある1点に吸い寄せされていく現象のようであり、「人口のブラックホール現象」と呼ぶことができよう。日本全体の出生率を引き上げ、「人口減少」に歯止めをかけるたえmには、人口の大都市圏への集中という大きな流れを変えなければならない。(34ページ)

東京とは

若者たちを低賃金で「使い捨て」にしているのが、東京という都市でしょう。そこにさらに(地方消滅によって)職にあぶれた地方の人たちが大挙して流入してきたら、どうなるか。そんなところに若者を集めれば、少子化にますます拍車がかかるのは必至。家賃の高さ、地域のサポートの希薄さ、、、、。東京などの大都市圏は、地方に比べ各段に子育てが難しいのですから。(147ページ、藻谷浩介氏)

本来、田舎で子育てすべき人たちを吸い寄せて地方を消滅させるだけでなく、集まった人たちに子供を産ませず、結果的に国全体の人口をひたすら減少させていく、、。私はそれを「人口のブラックホール現象」と名付けました。(148ページ)

ブラックホールと蟻地獄

 

都市への人口集中と出生率低下は今やアジアの都市国家であるシンガポール(1.2)や香港(1.2、ともに2011年)でも顕著である。世界的にも都市化が進んでいる今日、50年後、100年後、地方の消滅は世界的な現象になる可能性がある。

江戸時代後期18世紀、日本の人口は停滞していた。人口論の速水融氏は出生率が低くまた死亡率が高かった都市部を「蟻地獄」と呼んだ。

地方の過疎は東京には関係なく、むしろ集中による効率化が期待できると考えていた。本書は地方が消滅すると東京に流入する人口が減少し、いずれ東京も衰退していく可能性を指摘する。

人類は都市化によって人口減少のサイクルに入ったのであろうか?幕末から明治に向けての人口増加は都市の衛生環境の向上であった。医療を含む技術革新によって再度人口増加のトレンドに入るのであろうか?

蛇足

本書によれば、夫婦の理想の子供は2.4人

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