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毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

為替水準は金融政策が決めている、という当たり前のこと~『戦後経済史は嘘ばかり』高橋洋一氏(2016)

戦後経済史は嘘ばかり (PHP新書)

 高橋氏は財務省出身のマクロ経済政策の研究家、実は、高度成長の要因はほとんど為替だった!?(2016)

 

固定相場制

固定為替相場についての最大の誤解は、相場を決めれば自動的に相場が維持されると思っている人が多いことです。・・・固定相場制とは、「為替介入をしない制度」ではなく、「常に為替介入する制度」です。

1ドル=360円という数字を決めただけでは相場は維持できません。実際には相場を維持するために猛烈な介入が必要になります。

円安気味になりそうになったら、円を買い込んで1ド=360円を保たれるようにします。円高に振れそうなときは、ドルを買いまくって1ドル=360円を維持します。

大蔵省(当時)は特別会計で外貨を買うために、為券(外国為替至近証券)という政府短期証券を発行します。為券を発行して資金を調達して、その資金で外債を買って、為替相場を維持します。固定為替相場制維持のために、日銀は大蔵省に指示されるままに、円を発行し続けます。・・・大蔵省が「為替介入する」といったら、インフレになろうがどうなろうが、日銀は円を刷らなければいけなかったのです。(97ページ)

マンデル・フレミング効果

マクロ経済政策には、たった二つの政策しかありません。一つは税金をとって公共投資をする「財政政策」、もう一つは「金融政策」です。・・・マンデル・フレミング効果は、「固定相場制のときには財政政策が効いて、金融政策は効かない。変動相場制のときは、財政政策があまり効かなくて、金融政策が効く」というものです。(101ページ)

為替レートを決定するもの

為替レートは天から降ってくるようなものと思っているようですが、実際のところ、為替レートは金融政策で決まります。つまり、人間の意図で決まるものです。人間の意図で決まるのであれば、それをきちんと利用してマクロ経済政策を打つべきです。(226ページ)

高度経済成長とは何だったか?

池田首相は(1960年)、「高度成長」になると読み切って、所得倍増計画を打ち出しました。・・・高度成長期には、実質GDP成長率が10%を超える年が十年のうちに7回もありました。もし「安定成長」を目指していたら、成長率が7~8%になった段階で、「過熱しているから引き締めをしなければいけない」という意見が出てきたかもしれません。・・・当時は1ドル=360円でしたので、有利な為替レートにうまく乗って輸出企業はどんどん成長していきました。政府が民間の邪魔をしなかったことで高度成長を達成することができたのです。(70ページ)

戦後経済史は嘘ばかり

 高橋氏は高度成長の原動力は円安にあった、という。当時の通産省の指導によって各企業が競争力を獲得した、というのは誤解であると言う。通産省は各企業の事業戦略をヒアリングし、民間の作ったビジョンの後追いをし、そして情報に疎いマスコミがそれを通産省の制作だと報道しただけであったという。

高橋氏は自身が公正取引委員会にいたとき、実感したという。民間は通産省の指導が利益にならない、と思えば公正取引委員会通産省との調整を依頼していたという。

経済成長の原動力はイノベーションであり、マクロ経済政策に期待されているのは安定した環境の提供にある。

 

蛇足

 

為替水準は金融政策によって決められる

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