メメント・モリ”死を想え”、という言葉を知っていますか?~『メメント・モリ』藤原 新也氏(2008)
藤原氏は写真家、書名の『メメント・モリ』とは、「死を想え」という意味で、ヨーロッパ中世末期にさかんに使われたラン語の宗教用語だ。この本には、著者の短いコメントが付けられた74枚のオールカラー写真が収められ、生の光景に潜む無限の死の様相が極彩色で提示されている。(2008)
本当の死が見えないと本当の生も生きられない。…MEMENNTO-MORI…この言葉は、ペストが蔓延り、生が刹那、享楽的になった中世末期のヨーロッパで盛んに使われたラテン語の宗教用語である、この言葉の傘の下には、わたしのこれまでの生と死に関するささやかな経験と実感がある。(7ページ)
流れつづける、歩き続ける
つかみどころのない懈慢な日々を送っている正常なひとよりも、それなりの効力意識に目覚めている阿呆者の方が、この世の生命存在としては優位にあるように思える。私は後者の阿呆を選ぶ。わたしは、あきらめない。(173ページ)
再び、メメント・モリ
メメント・モリは、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句であり、「死を記憶せよ」と訳さる。
我々の生活から死は遠ざけられている。非現実的な風景の中にしか死は現れない。藤原氏はメメント・モリを意識しない日常より、メメント・モリを意識した「異常」を、インドなどアジアの国々で写真に撮った。
メメント・モリ、我々は必ず死ぬ。だから今を愉しむ。現世の楽しみははかないもの、と考える。どちらを選択するかは本人に任されている。
蛇足
メメント・モリを意識するには異常が必要である。
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