毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうして我々は未来の記憶を持っているのか?最新の脳科学の成果から~『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』ミチオ・カク(2015)

フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する

 ミチオ・カク氏は理論物理学の研究家。脳研究やテクノロジーの進歩により、心の仕組みと働きが劇的に解明されつつある。さらに科学の進歩がつづくならば、われわれの能力や可能性は飛躍的に高まり、驚異の未来が開けるという。(2015年刊)

 

著者の主張

 

 

本書で私は、人間の意識には、目標を成し遂げるために、世界のモデルを構築してから、それをもとに未来をシミュレートする能力があるという立場をとっている。(193ページ)

 

意識とは

 

 

意識とは、目標(配偶者や食物や住みかを見つけるなど)をなし遂げるために、種々の(温度、空間、時間、そてに他者との関係にかんする)パラメータで多数のフィードバックを用いて、世界のモデルを構築するプロセスのことである。(63ページ)

 

未来をシミュレートする

 

 

人間の意識は、世界のモデルを構築してから、過去を評価して未来をシミュレートすることによって、時間的なシミュレーションをおこなう、特殊な意識だ。そのためには、多くのフィードバックグループについての折り合いをつけて評価し、目標をなし遂げるべく判断を下す必要がある。(67ページ)

 

記憶のしかた

 

記憶をもっと長く保存するには、情報をさらに海馬に通す必要がある。そもで記憶をさまざまなカテゴリーに分解するのだ。・・・感情の記憶は扁桃核に保存されるが、言葉は側頭葉に記録される。一方色などの視覚情報は後頭葉に集められ、触覚や運動の感覚は頭頂葉に留まる。これまでに、科学者によって20以上の記憶のカテゴリーが明らかにされており、それらは脳内のさまざまな部位に保存されている。(149ページ)

未来を思い出す

 

 

長期記憶が進化を遂げたわけは、未来をシミュレートするのに役立つからだったのかもしれない。言い換えれば、我々が遠い昔のことを思い出せるのは、未来をシミュレートする必要性と利点のためだということになる。(157ページ)

 

脳科学の最前線

 

著者によれば、1990年代からのMRIや高度な脳スキャンが脳機能の解明を加速させたという。それは400年前の望遠鏡の発明から現代の宇宙時代までの大きな飛躍に匹敵する様な可能性を秘めているという。

未来と記憶との関係は繰り返しSF小説や映画のテーマになってきた。最先端の脳科学はそれを画像と電気信号に返還し検証する。更には近い将来、記憶を操作したり、最終的には行動をも操作する事が現実味を帯びているという。

未来の記憶を操作する

 

未来の記憶をなりたい自分に操作できないか?それは最先端の脳科学と電子装置を使わないと実現できないのであろうか?宗教、心理学、成功体験などはこの未来の記憶を操作する方法を含んでいるのではないか?脳に電子的に直接働きかけるのではなく、なりたい自分という目標を明確にし、書面にする。朝晩眺める事で目標を忘れる事なく達成する、多くの成功者が言ってきた事は未来の記憶を操作する為だった。これらの事を実感する為にも本書をお勧めします。

蛇足

 

過去は常に新しく、未来は常に懐かしい

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