毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

鉄はいつ、どこからきたのか?

JAXAプレスを見て、元素に興味を持つ。

「X線天文衛星「すざく」を用いた観測により、スタンフォード大およびJAXAの研究者たちが、100億年以上前の太古に、鉄などの重元素が宇宙全体にばらまかれた時代があり、それが現在宇宙に存在するほとんどの重元素の起源であることを確認しました。

 元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち (光文社新書)

吉田氏は東京理科大客員教授、医学博士。本書で元素周期表を解説する。

 

新しい元素を生み出すには、元の原子の原子核を、別の原子の原子核とお互いに核力が働く距離まで接近させる必要があります。しかし、原子核原子核とは電気的に反発しあっているので接近させるには、それを超える膨大なエネルギーが必要です。それが1000万度という途方もない高温状態だというわけです。もちろん地球上んは基本的には1000万度を超える場所など存在しません。(中略)そのため、地球では新しい元素は作られないのです。(62ページ)

 

1000万度以上の高温となり元素が誕生する過程

①ビックバンの直後

宇宙が誕生した直後のビックバン直後に素粒子が誕生、一秒後に水素の原子核、3分後にヘリウムの原子核が生成されその比率は92:8

②恒星の誕生過程

水素が集まり恒星となり、水素が核融合を起こしヘリウムへ、ヘリウムが更に核融合を起こし炭素、窒素、酸素、そして鉄とだんだんに重たい元素が生成される。

③超新星爆発

恒星のうち巨大なものはその大きな重力に耐えきれず爆発を起こし鉄より重たい元素が次々誕生する。

(65ページから再構成) 

いつ重たい元素は生まれたか?~X線天文衛星「すざく」が 鉄 の分布を調査

 鉄などの重元素は、宇宙の始まりであるビッグバンの時点では存在せず、星の中で合成されたのち、その星が最後に超新星爆発を起こすことで周辺の空間に拡散します。宇宙誕生から約30億年後(いまから約110億年前)に、星が大量に誕生し、星の大集団、銀河が沢山生まれたと考えられています。(中略)X線天文衛星「すざく」を用いてペルセウス座銀河団の広い範囲にわたって鉄の割合を調べ、そのばらつきが小さいことを発見しました。(中略)いまから100億年以上前に、鉄などの重元素が星々から大量にまき散らされ、宇宙中に拡散した時代があったこと、現在の宇宙に広がるほとんどの重元素はその時代にまき散らされたものであることが分かったのです。

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左:66ページ

右:JAXA2013年10月31日プレスリリースより

100-120億年前に、超新星爆発や急成長するブラックホールが生み出した強い風は、コーヒーカップのスプーンのように、銀河から溶け出した鉄を、宇宙中にかき混ぜたと考えられます。(画像提供:池下章裕/JAXA

蛇足

鉄は地殻の5%、100億年前より宇宙に沢山存在した事をイメージに焼き付ける。