粉ミルク、インスタントコーヒー、ミネラルウォーターを普及させたのは誰か?~『週刊ダイヤモンド 2016年 10/1 号凄いネスレ』
週刊ダイヤモンド 2016年 10/1 号 [雑誌] (凄いネスレ)
食の帝国、ネスレ
時価総額26兆円で世界13位に位置する超巨大グローバル企業。150周年を迎えた長寿企業で、赤字は創業来1度のみ。常に右肩上がりの成長を果たしてきた超優良企業である。
食のトレンドをつくってきた究極の長期戦略
毎朝、多くの人が外出前に1杯のインスタントコーヒーを飲む。通勤途中のコンビニエンスストアでミネラルウォーターを買い、仕事中に体が糖分を欲すればミルクチョコレートを口にする。生まれたばかりの赤ん坊が腹をすかせれば、粉ミルクを与えてあやす。実はこれ、全てネスレが世に広めた製品だ。彼らの長期戦略が、現代のわれわれの生活をつくり上げていることがわかるだろう。
ネスレの強みは、長期にわたり腰を据えて文化そのものを自らつくり出すところにある。彼らにとって、食のトレンドは「乗る」ものではなく「つくる」ものなのだ。(36ページより抜粋)
世界でPB化(プライベートブランド化)の波
医薬品のように効能の科学的根拠を示す必要のない食品などの消費財は、小売企業の恰好の標的だ。これまで食の王者として君臨してきたネスレといえども、コモディティ化の波に巻き込まれることは免れない。(59ページ)
ネスレは伝統的食品企業から「栄養・健康・ウェルネス」企業へ
~ピーター・ブラベック氏ネスレ会長
「かつて食品メーカーに求められていたのは、高カロリーの食品を供給することでした。基本的に人間の摂取カロリーが足りませんでしたから、100年、200年、と高カロリーの食品が“よいもの”とされてきました。
そこにパラダイムシフトが起きた。カロリーを取り過ぎることで寿命が縮まりだしたのです。当然、食品企業の使命は変ります。それまでのように、ただ高カロリー食品を売ればよいのではなく、より良い形でカロリーを取るよう提案する必要がでてきた。それが伝統的な食品企業と「栄養・健康・ウェルネス」企業の違いです。」(30ページ)
凄いネスレ、世界を牛耳る食の帝国
1867年のスイスでは、有効な母乳代替食品の不足から多くの乳児が栄養不足で亡くなっていた時代だった。アンリ・ネスレは、早産の赤ちゃんに自らが新しく開発した乳児用乳製品の販売を開始、普及させることに成功する。粉ミルクに始まり、インスタントコーヒー、ミネラルウォーターなどネスレはイノベーションによって世界の食卓を変えていた。
世界最大の食品メーカーとして次に掲げるのは「栄養・健康・ウェルネス」である。世界一の食品メーカーは、本質的には飢餓は終わっていること、PB化の流れは食品価格が値下げするであろうこと、を教えてくれる。
ネスレの次の長期ターゲットは「栄養・健康・ウェルネス」、我々はこれらに未だ満足していないこと、を教えてくれる。
蛇足
長期戦略とイノベーションが150年間成長を続ける理由
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