毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

チョコレートの秘密~幸せな記憶を「発酵」させて封じ込める香味と甘み

チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書)  

竹田氏は社会学の研究家、英ロウントリー社(現在はネスレに買収)の資料から本書を書く。

本書そでには「カカオは原産地の中米では飲み物であると同時に薬品であり、貨幣にもなった。ヨーロッパに到来したときも、この珍貴な実の食用について激論が交わされたが、一九世紀にはココアパウダーや固形チョコレートが発明・改良され、爆発的に普及する。イギリスの小さな食料品店だったロウントリー家もまた、近代的なチョコレート工場を作り、キットカットを開発、世界に販路を拡大するが…。ヨーロッパ近代を支えたお菓子の通史。」

 

チョコレートのトリビア~菓子の世界ではメジャーなアイテム

・カカオの生産1位はコートジボアール、WWの40%弱を生産、 コートジボアールの輸出品の20%を占める。(コートジボアール象牙海岸にあり、旧宗主国は仏。)以下ガーナとインドネシアを併せて世界の70%を生産。

・チョコレート一人当たり消費量の高い順に独11.6KG、スイス10.6kg、英9.8kg(日本は2.2Kg)

・日本のチョコレート市場規模は4400億円、菓子市場の13.7%を占め、和生菓子・洋生菓子・スナックのそれぞれの市場規模と同等。メーカー推計シェア、明治30%、ロッテ20%、森永10%

・ミルクチョコレートを初めて創ったのはスイスのネスレ

ベルギーチョコレートの発展はチョコレートの粒を成形する金型産業が寄与。

キットカットの世界第2位の市場は日本

KIT KAT BREAKTOWN |ネスレ キットカット ブレイクタウン|キットカット・ヒストリー

 

カカオ豆は発酵させる、これが香りの成分

種子は実から果肉とともに取り出して1週間程度発酵させます。この過程で種子の中の成分が変化し、カカオ豆の香りの成分が醸成されます。発酵方法の一つはバナナの葉でカカオの種子を包んで発酵させる方法です。結実から出荷まで | 日本チョコレート・ココア協会



                 

 

 

チョコレートの歴史 1847年英国に始まる

カカオ豆をすりつぶしたのがカカオマス、55%の脂肪が含まれる。カカオマスから脂肪部分を分離したものがココアバター、残りの部分がココアケーキ。飲料のココアはココアケーキを粉末にしたものを使う。(10ページより整理)

(英で薬局を経営していた)ジョセフ・フライは搾油していないカカオマスに、ココアバターをさらに加えるというものだった。増量されたココアバターによって、より多くの砂糖を溶かし混むことが可能になり、苦みが軽減した。よくかき混ぜて練り上げると、なめらかな舌触りで、甘くて風味のよい固形になった。冷ますと、成形、型抜きも容易だった。この様にして湯や水にといて飲むのではなく、そのまま食べる「チョコレート」が1847年に誕生した。(85ページ)

チョコレート~褐色の宝石

カカオ豆そのものから発揮される成分には、「香り」(華やな香り、スパイシーな香り、スモーキーな香りなど)や、「風味」(酸味、苦み、渋み)がある。またチョコレートを口に入れたときの「かたさ・柔らかさ」「口どけ」「コク」も、おいしさの大事な決め手である。つまり、原料の主役であるカカオ豆が醸し出すアロマ(香味)やフレーバー(風味)と砂糖やミルク等を混合して出来上がった加工品のテクスチャー(舌触り)が絶妙のバランスを作り出し、チョコレートの個性を生み出している。(2ページ)

食べ物は幸せを記憶に閉じ込める

人は美味しいものを食べた時、五感で感じる。この五感の記憶と幸せな記憶が結びつくと強力な効果をもたらす。私にとってチョコレートは遠足のおやつを連想。香りで言えばバターの溶けた匂い、冬に家族とストーブで焼いた時の事を思い出す。美味しいものを家族と一緒に食べた記憶、誰でもそれぞれ違った懐かしい記憶を持つ。

蛇足

カカオ豆が幸せな記憶を発酵させる。