チョコの原料、カカオの樹はジャングルの日陰で育つ~グリーンな農法という概念の意とは?
カカオの樹(Wiki)
樹高は4.5 - 10メートル程度。本種の生育には、規則的な降雨と排水のよい土壌、湿潤な気候が必要である。
カカオ生産の特徴として、バナナやコーヒーといったほかの熱帯性商品作物と違い、大規模プランテーションでの生産が一般的ではないことが挙げられる。カカオの木は陰樹であり、大きくなるまではほかの木の陰で生育させる必要がある。
カカオの写真:カカオ・チョコレート :: キリグア物語|yaplog!(ヤプログ!)byGMO
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カカオとチョコレートのサイエンス・ロマン―神の食べ物の不思議
佐藤氏は食物油脂の、古屋氏はカカオ栽培の、研究者。
カカオの栽培~熱帯雨林と同様、カカオに直接日光を当てずに大木で日陰を作る栽培法
具体的には最初にカカオとともに一年作物(トウモロコシや米、豆など)を植える。同時にドラゴンフルーツやコショウ、パッションフルーツ、バナナを植える。これらは日陰樹となる。コショウは5年ほどで枯れるが、その後他の木が大きく成長する。カカオ農家は、このアグリフォレストリーによる農法で生計を立てている。トウモロコシや米などは直接生活の糧になると同時に、カカオの苗がもっとも弱い時期に日陰を作る。幼木を育てる為に植えるバナナの木は、カカオが3-4年で実を結ぶまでの間の収入源となる。大木は、いずれ家具の材料となる。このように、樹木の高さを考慮した三次元の計画、更に時間軸まで考えて計画された農法は、遷移型アグリフォレストリーと呼ばれる。(32ページ)
なぜ他の果物と違って光を遮る必要があるのか?
なぜカカオの木に燦々と太陽光を当てて光合成を活性化させ、水と肥料をたっぷり与えてたくさんのカカオポッドを育てないのか?日本のほとんどの果樹栽培で常識となっていることが、カカオでは通用しない。(中略)カカオポッド(実)には多量の水を含むカカオパルプがあり、そのために土壌に大量の水を必要とする。(33ページ)
カカオは昔からグリーンな農法、アグリフォレストリーの発想
アグリフォレストリーとは、様々な種類の果実や用材樹木と農作物、家畜を、同時ないし時系列的に組み合わせ、それらが経済的および生態学的に作用しあう土地利用形態をいう。 アグリカルチャーとフォレストリーを合わせた造語である。(31ページ)
アグリフォレストリーは「グリーン」な農法か?
カカオと、米・トウモロコシ、バナナ・コショウを混合栽培する方法は擬似的熱帯雨林の生態系を模した空間であり、いわゆる有機栽培などとの親和性も高い。その意味では環境付加の少ない農法といえる。一方カカオ栽培が大規模機械依存のプランテーションに向かず人力に依存する為、過酷な低賃金労働の温床になってきたとする指摘もある。重要な点はカカオが国際的商品市況に組み込まれている事。カカオの価格変動も他の穀物等と同様値動きは激しい。カカオは栽培自体はグリーンかもしれないが、だからといって商品作物としての性格を補う事は出来ない。グリーンな農法という概念に意味があるか?
蛇足
金子みすゞさんの詩、「大漁」を思い出す。「朝焼け小焼けだ/大漁だ/大羽鰮(いわし)の大漁だ/浜は祭りのようだけど/海の底では何万の鰮(いわし)のとむらいするだろう」