毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

”生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え”、とは?~『銀河ヒッチハイク・ガイド 』Dアダムス氏(1979)

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

アダムス氏はイギリスの脚本家、シュールでブラック、途方もなくばかばかしいSFコメディ大傑作。 (原書は1979)

 

 

このSFは「究極の哲学的疑問の答え」をコンピュータによって解明しようとすることがモチーフになっている。その為に作られたコンピュータがディープ・ソート。

 

哲学的難問を回答するために作られたスーパーコンピューター「ディープ・ソート」

「わたし に 与え られる 大いなる 使命 は どの よう な もの でしょ う か。 この わたし、 ディープ・ソート(深慮遠謀)、 この宇宙の時空で二番めにすぐれたコンピュータが生み出されたのは、 いかなる使命を果たすためですか」

生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問に対するディープ・ソートの答え

生命、宇宙、その他もろもろの答えは・・・・42です。・・・あえて正直に申し上げれば、なにが 問いなのかあなたがたはよくわかっていない。 それが問題なのだと思い ます」

世界で一番賢いコンピュータ

その コンピュータ は 無限 にして精妙な複雑さをそなえ、 有機 生物 そのものが演算基盤を構成することになるでしょう。・・・この わたし(ディープ・ソート) が そのコンピュータを設計するのです。名前もつけてあげましょう。 そのコンピュータの名は…… 地球 です」

そもそも究極の質問は何か?

本書はSFである、それもドタバタなSFコメディである。SFの設定を一言で言えば「地球とは究極の哲学的質問を作るための有機的コンピュータ」と要約できる。

スーパーコンピューター“ディープ・ソート”は「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」を知りたければ、究極の質問ができなければいけない。その為に有機的コンピュータ”地球”を設計したのだと言う。

地球は究極の質問を考えさせる為に誕生したことになる。そして人間は究極の答えを探すのではなく、究極の質問を探すために存在している。

繰り返すが本書はドタバタSFコメディである。

しかし、“答えより問いが重要である”、“我々は問いを探すために存在している”、というメッセージは我々を深く考えさせる。

「 わたしは何者なのか、 わたしの生きる目的はなんなのか、 わたしが起きあがらず 仕事に行かなかったからと 言って、 この宇宙にほんの少しでも影響がある のかと。」

蛇足

ディープ・ブルー(※)は本書ディープ・ソートに由来する

IBMが作った、チェス対戦用スーパーコンピューター

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