「株主は地球だ」という言葉は何を考えさせるのか?~『社員をサーフィンに行かせよう、パタゴニア創業者の経営論』イヴォン・シュイナード氏(2007)
シュイナード氏はアウトドア衣料メーカー、パタゴニアの創業者、「社員をサーフィンに行かせよう」という精神は、会社が従業員を信頼していていないと成立しない。お互いに信頼関係があるからこそ、この言葉が機能するのだ。 (2007)
何のためにビジネスをやるのか?
あらゆる意思決定を、百年先までビジネスを続けるという前提で下さなくてはならない。それほどの長期間にわたって維持できる速度で、成長を続けていくのだ、…確かに環境活動への寄付は行いたい。だがそれ以上に、パタゴニアを、ほかの企業が環境的な経営と持続可能性を探るためにあたって手本のできるような会社にしたい。ちょうど、私たちのピトンやピッケルがほかの道具メーカーの手本となったように。…私はそもそもなぜ企業家になったのかを振り返り、クライミングに出かけては自分が身に着けたウェアや道具一つ一つについてさまざまな改良案を持ち帰っていた頃を思い出した。そしていかに企業としてのパタゴニアが、高い品質基準と、古典的なデザイン原則に牽引されてきたかを悟った。(102ページ)
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2007年6月9日、週刊東洋経済のインタビュー記事より引用
御社にとって利益とは何ですか?
もちろん利益は出さなければならない。そうでなければ、ほかの会社に示すものがない。つまり、私たちが、どれだけ熱心に環境活動に取り組んでいても、利益を出していなければ単なるお遊び。誰にも見向きもされないだろう。ほかの企業の先頭に立って、影響を与えたいと願う以上、利益はやはり必要なんだ。
株式公開しないのは、つねに成長拡大ばかりを求められるから?
そうだ。毎年15%の成長を求められたりするのではたまらない。私たちの株主は地球であるとでも言っておこうか。うん、いい言葉だ。
パタゴニアの経営理念
シュイナード氏はパタゴニアの経営理念を「すべての決断は地球環境の危機に照らして行うこと、最高品質の製品を作り続けること」と話す。
パタゴニアはシュイナード氏によって環境負荷の少ないロッククライミングの道具(ピトン)を作ることを目指して創業された。以来、地球環境を憂いてきた。
私は株式公開自体がマイナスだとは考えない。株式公開にふさわしいビジネスもあるし、株式公開しない方がよいビジネスもある。パタゴニアは株式公開せず、年率5%で100年成長する会社を目指すことにした。これが唯一の正解なのではなく、シュイナード氏の経営理念を貫徹させるたの選択である。
株主は地球だ
シュイナード氏の言う「株主は地球だ」、という言葉は本質を現している。株式公開企業であっても、株式を公開していない会社であっても、企業が100年後も存続するには地球全体からの視野が不可欠である。株主は地球だ、と言い切るには強い勇気と困難に立ち向かう行動が必要である。
蛇足
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