毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

経営コンサルタントが使う「仮想データベース」というスキルを知っていますか?~『スパークする思考 右脳発想の独創力』内田和成氏(2008)

スパークする思考 右脳発想の独創力 (角川oneテーマ21)

 内田氏は経営コンサルタント、情報は、検索するな、覚えるな、整理しすぎるな。問題意識を持ち、アナログな情報に触れれば、アイデアや仮説が生まれる。『仮説思考』の著者であるトップコンサルタントが明かす、独自の思考法・発想術。(2007)

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仮想データベース

 

私は、頭の中に20の引き出しを持っている。この引き出しが、秘蔵のノウハウだ。・・・時によって、その数は違う。引き出しにはそれぞれテーマがあるのだが、そのテーマも一緒なわけではない。

この引き出しは、元々は相手を印象づけたり、説得するために、「会話の中で使う話題」をしまっておく、「私の頭の中の仮想データベース」である。およそ20のバーチャル(仮想)の引き出しがあり、それぞれ見出しが貼られている。そして、一つの引き出しにやはり20程度の話やネタ、つまり情報がしまわれている。この一つ一つフォルダと呼んでいる。キャビネットの引き出しの中に並んだ、ハンギングフォルダのイメージだ。要するに、最大で20×20で400ほどのネタが頭にあるということになる。(71ページ)

スパークする指向を生むメカニズム

 

①問題意識を持って何かに引っかかる

②現象(情報)を見て、興味(あるいは、疑問がわき)問題意識が生まれる

③自分の仮想データベースを検索する

 

②は、日常生活に近い。現象からおもしろさ、楽しさ、不思議さといった感情や興味ベースの問題意識が誘発されるパターンだ。

③は仮想データベースの20の引き出しである。短期的で明確な課題、ニーズがあるわけではないが、常に問題意識、興味を持って好奇心旺盛に生きて、働いて、その過程で出合ったさまざまな現象(情報)をフィルタリングして必要と思われるもの、関心が深いものを蓄える。そしてできあがった仮想データベースを必要に応じて、引っかき回すというイメージだ。(154ページ)

それを一言で言うと

 

頭の中の引き出しをサーチする。昔の事例を探して、似た状況を考える。・・・考えが生き詰まったら、書いてみることが大事だ。(人に)しゃべる、書く、そして歩き回る。そうやって脳を活性化させているのだろうと思う。(159ページ)

 仮想データベースは誰でも使えるスキル、である。

 

著者は経営コンサルタントとして、問題意識と仮想データベース、そして日常の情報、この3つをつなぎ合せることで「スパークする思考」をビジネスの種にしてきた。内田氏の仮想データベースというスキルを繰り返し行えば、誰でも実現できることになる。そこに違いがあるとすればどんな仮想データベースを持つか、ということであろう。独自の仮想データベース、これこそが自分の置かれた環境の中で紡ぎだせる。経営コンサルタントとして、「スパークする思考」をビジネスにしてきた著者の言葉には説得力がある。

蛇足

 

あなたならどんな「20の引き出し」を作りますか?

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