岡本太郎氏の発想法は"ゼロベース思考"、25歳パリの決意~『自分の中に毒を持て』岡本 太郎 氏(1988)
岡本 太郎(1911-1996)が亡くなる3年前に書き残した。(1988年刊)
25歳のパリ
ある夕方、ぼくはカフェのテラスにいた。一人で座って、絶望的な気持ちで街路を見つめていた。うすい夕陽が斜めのさし込んでいた。「安全な道をとるか、危険な道をとるか、だ」・・・ただ、この時にこそ己に決断を下すのだ。戦慄が身体を通り抜ける。この瞬間に、自分自身になるのだ、なるべきだ、ぐっと総身に力を入れた。(19ページ)
「危険な道をとる」
いのちを投げ出す気持ちで、自らに誓った。死に対面する以外に生はないのだ。その他の無らしい条件は切り捨てよう。そして運営を爆発させるのだ。(19ページ)
1930年パリへ
18歳でパリに来て、画家としての夢を描いた。そして、芸術運動の最前衛のグループに飛び込んだ。そこに情熱も張りもあった。闘った。しかしやがて一方、人間の本当の生き方はタブローという枠の中で美を追求することだけではないのではないか。もっとひろく、そしてもっとぎりぎりの、自分という人間の全存在、生命それ自体が完全燃焼するような生に賭けるべきでないか、そういう自分自身への問いに全身でぶつからずにはいられなかった。(19ページ)
1940年パリを去る
ぼくは1940年、ドイツ軍がパリを占領する直前に、ヨーロッパを去り、太平洋戦争突入前夜の日本に帰ってきた。パリでの体験を経て、それをポジティーブに生かすため、ぼくは日本という自分と直接つながりのある場で人生を闘うべきだと考えたのである。(19ページ)
難しい道を選ぶという事
岡本太郎氏は難しい道を選ぶ事を主張する。人はなぜ危険を感じるのか?それは約束されていないから、そして今ある物を失うから、現在の方が楽だから。
更に一歩進めると、どうして難しい道が目に入ったのか?難しく、やりたくない事であれば最初から視野には入らない。「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ。」(28ページ)
渋谷駅の壁画トランプマンのマジックワールド | マジック・ラビリンス
どうやって危険な道を選ぶか?
「心身とも無一物、無条件」(11ページ)であれば選択できる。現代のフレームワークで言えば、ゼロベース思考とも言えるであろう。やってきた事は今からでもやりたいか?過去から自由になった時、人は本当にやりたい事を選択できる。
視野に入った危険な事をやる
岡本氏の25歳パリでの覚悟と同じ覚悟はできないか?この文章が目に入ったとすれば既にそれを選択したいと考えているから。人がやらない選択をする、そこには大小を問わず恐怖が常に存在する。
蛇足
少しの勇気、それが成功への一歩
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