毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

正しい決断+マーケティング、月にだって行ける~「月をマーケティングする」アポロ計画と史上最大の広報作戦

月をマーケティングする

1961年、ガガーリンの乗ったボストーク1号に人類初の有人宇宙飛行で先を越されたアメリカは、ケネディ大統領の決断により、1960年代のうちに人類を月に送る「アポロ計画」を立てる。 そのための予算は250億ドル。この膨大な金額を国民に納得させるために、史上最大のマーケティング作戦が始まった。

  

アポロ11号に打ち上げの前にミッションの内容を報道機関に広く伝えるという前例のない方針が認められたのも、ヘイニーの功績である。従来の軍の方針に従えば、そうした情報は打ち上げ後に公表されるのが常だった。・・・NASAの広報専門家がいなかったら、アメリカ人は、自分たちが資金を出した月探査計画の驚くべき成果を、目の当たりにはできなかっただろう。(36ページ)

NASAの広報戦略

 

NASAのPIO(情報公開部、のちに広報部と改称)は、報道機関に情報提供するにあたって、事実を正確に映し出す鏡のような存在になることを目指します。」(102ページ)

のちの専門家が「ブランドジャーナリズム」や「コンテンツマーケティング」とよぶPR法(昔のマーケティング・広報活動のように、一方的に自分たちの言いたいことを伝えたり、自分たちの考えを強引に押しつけたりするのではなく、情報を発信するときは正確に伝える事を徹底する手法)についても定義している。・・・PIOはNASA内部の記者のようなもので、NASAのエンジニアからニュースになりそうな情報を集めて報道機関が使いやすいように加工します。・・・ある媒体がPIOの広報活動を自分たちの言葉で書き換えれば、それが媒体の記事になるという点です。(103ページ)

アポロ11号は何の為に発射されたか?

 

 ケネディの決断は「外交の危機、政治上の必要性、ケネディ個人の熱意と行動主義、それに科学技術力、経済的な繁栄、国民の雰囲気などさまざまな要素が組み合わさった」結果なのである。(445ページ) 

 

人類を月に送り、無事に帰還させるという目標の為に全力を尽くす

ケネディ大統領が1961年宣言し始まったマーケティング戦略は準備段階から生中継の様な形で進められた。NASAはメディアとの親密な関係を構築する事に成功する。アポロ11号はマーケティングに新しい手法を持ち込んだ。アポロ11号にはカラーTVカメラが持ち込まれ、月着陸の瞬間は生中継された。今では当たり前で何が新しいかすらイメージできない。

マーケティングの力か、コンセプトの力か?

 

アポロ11号が人類の共通の記憶である事は間違いない。そもそも月に行ったからから歴史となったのか?背景に政治的背景があったしろ、我々は月に行こうと宣言したケネディの計画として記憶している。コンセプトに力があった事は間違いない。(忘れているが月面着陸した1969年、大統領はニクソン)

それではマーケティングの力は我々の記憶にどう影響したか?1969年月面着陸は公約どおり期限内に行われた。これを可能にしたのは正にマーケティングの力だったと言える。マーケティングによって多くの人が自らアポロ計画に巻き込まれていった。

蛇足

正しく決断し、マーケティングをすれば月にだって行ける。

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